2015年12月08日
マンハッタンで出産する(産後)
産んだ後も”先生、そんな大きなダイヤの指輪したままとりあげてくれたの?!”というところから始まり、次から次へと産後サプライズは続きます。
まず新生児の足と両親の手首に紙のようなものがくるっと巻かれたのは名前入りのバーコード。新生児室から引き渡される時には必ずスキャンでピッと照合する仕組みになっています。トイレに行くにも必ず母親が新生児を乗せたバシネットを押して一緒に入らなければならず、片時も目を離さないよう厳しく言われます。
院内スタッフの新生児の取り違い防止というよりは、連れ去り?防止のため?なのかわからないけど。。。離婚社会アメリカでは親権が絡む色んな事件があったりするのかもしれません。
相部屋に移されてからも、”Congratulations! I’m XXXX……” と、看護婦さんはもちろんのこと、指導員とか、母乳育児相談のコンサルタントとか、色んな人が出入りするのですが、最後の方はもう誰が誰だかさっぱりわけがわからない。いくら無痛分娩とはいえ体力も気力も消耗しきってボロボロのところで早口の英語で質問攻めはやっぱりきついものです。
”明日、退院のオリエンテーションには必ず参加して下さい”
って、、、、3時間前に産んだとこなんですけど、、、今、入院したとこなんですけど、、、
みたいな感じで、2泊3日のスピード入院生活はスタートしました。
退院後3日以内に赤ちゃんを小児科に連れて行くように言われ、上の子の主治医の先生に予約をとろうとすると新生児は診ていないとのこと。
すっかりあてにしていたので、慌てて友達にばーっと連絡をとり、おすすめの小児科医を聞き出し、保険適用されるか調べ、電話でアポ取り・・・・なんてことやっていたらあっという間に半日終了してしまいました。
知らなかったよー産む前に小児科医探しとかなきゃいけなかったなんて。
午後になって、オリエンテーションに行ってみると、またまたプチサプライズ。
なに、、これ?夫婦で参加が2-3組、あとは旦那さんの参加者で、産後のガウンを着て1人でいる母親って私くらい。。
えっと、、、今日、平日だよね?みなさんお仕事は?うちのダンナは普通に会社行ったけど、、、
やっぱり、ここはアメリカ。を実感するわけです。こういう時。出産は夫婦2人の恊働作業、パパたちは当然会社を休んできています。育児も”お手伝い”じゃなく”主体的に”張り切ってやってくれる父親が多いのがアメリカ。こういうところは本当にいいなぁと思います。
入院中は、言うまでもなく、お祝い膳のような豪華な食事もなければ、退院前のシャンプーブロー、カット、アロママッサージなど日本の産院でEnjoyした素敵な入院ライフとはほど遠く、シャワーを浴びる時間も気力もないままあっという間に退院の時間になりました。
荷物をまとめていると、看護婦さんがきて、”病院からよ”と言って手渡してくれたのは、シャネルのコスメポーチとラルフローレンのギフトボックス。こんなのくれなくていいから、入院費安くしてーーー!
そして、退院後、懸念していた通り、今回最大のサプライズがやってきました。
!!!請求書!!!
ぽつりぽつりと届く何枚もの請求書の金額にいちいち絶叫していたけれど、あらためて今回、検診も含めた分娩、退院までの総費用を出してみるとなんとまあ、その額日本円にして800万円近く・・・・これ、もし帝王切開だったら冗談じゃなく1千万円いってたかも?!
保険で自己負担分は1割以下で済んだもののそれにしても、ひどい。。わざわざご丁寧に赤ちゃんの分だけ別に請求された時にはホント目を疑いました。
新生児の部屋代だけで、”Newborn Semi-Private”$7,700(約93万円)
Semi-Privateってあの相部屋のこと?隣にバシネットで寝てただけなのに?たった2泊なのに?
特別検査などもしたのでそのせいか、、、、もしくは今回産んだ病院が殊更に高額だったのかもしれません。ニューヨークで、アメリカでの出産が、全てこんなわけではないでしょう。やはり入院費がとんでもなく高額でその大部分は往診にきた(と思い込んでいた)様々な人々の人件費だったみたいです。
請求書の額を素直に払わず、保険会社と交渉すれば、安くなったかも?来る方々の診察を断って、お帰り頂くという日本人的なマインドでは到底考えられない、裏技もあったらしいのですが。
それにしても最後までびっくりのマンハッタンでの出産体験。先日、病院に貼ってあったバナーを見て思わず納得したのでした。
”Amazing Things Are Happening Here”
ここで、とんでもなくびっくりするような(素晴らしい)ことが起こるでしょう!
- 寺尾 美香(てらお・みか)
- 慶應丸の内シティキャンパスで4年9カ月間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。2014年4月よりNY在住。
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大阪大学人間科学研究科 教授
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