KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2018年12月11日

「よい講演だった」で終わらせない クロシング体験記

Kazu
金融業種勤務 経営企画担当役員

「よい講演」を自分に定着させる仕組み

クロシングは東京・丸の内の講演映像をネットで視聴する学習サービスです。単発の講演視聴にとどまらず、複数の講演を題材に全国の会員でネットディスカッションを開催しています。
今回はこのネットディスカッションに参加されているクロシング会員・Kazuさんの体験レポートをお届けします。


水曜日の夜10時。私は酔いが回る中、慌ててネットカフェに駆け込みパソコンに向かいました。その日は毎月2回あるクロシングのネットディスカッションの日、運悪くマスコミ関係者との会食があり気づけば10時直前、家に帰る電車の中からスマホで参加すると50代半ばの私の指の動きでは思うように発言ができない、ベターな環境で参加したい、そんな思いでした。クロシングプロセス全体は以下の通りですが、1年間やってきて、冒頭の臨機応変対応も含めてプロセス全体が日常生活にビルトインされ習慣化しています。

(クロシングのプロセス)

  1. 3講演を視聴し感想を書く
  2. 3講演を通じて得たものを考える
  3. 1回目のディスカッションに参加
  4. 他の方の意見を参考に再度主題について考え意見をまとめる
  5. 2回目のディスカッションに参加
  6. 最後に全体を通して得たものを整理する

私がクロシングに参加した動機は3つの危機感からです。
1点目はインプット不足の危機感です。日々多忙な中、過去の経験だけで判断を繰り返していて知的に疲弊しているとの思いです。2点目は視野狭窄の危機感です。金融業界は特殊な世界で業界の常識が世の中の常識ではない、一方で急速な技術革新により革命的な時代の変わり目を迎え、金融業界も他業態からの深刻な挑戦を受けている、そんな中では視野を本当に広げていかないと太刀打ちできないとの思いです。3点目は人生100年時代に対する危機感です。今50代半ばで60歳までであればごまかしてやっていけますが、あと10年働くと思ったらインプットは不可欠と思います。

クロシングを約1年やってきて、改めて消費者目線でクロシングを商品・サービスとして見直してみます。第1に商品の質が非常に高いということです。講演者は各界の一流の方々で、財界に偏らず学界や文化、スポーツ界等多様です。大学の講義と同じ90分程度の講演なので、一つのテーマについてまとまった情報量を提供できる時間が確保されています。

第2に商品提供者の付加価値が非常に高いということです。毎月、特定のテーマ設定の下3つの講演が選定されます。このテーマ設定と3講演の選択が絶妙で、視聴する側は3講演に通底する点や異なっている点等を考えることによって、思考の幅が大きく広がります。またディスカッションの過程でもファシリテーターとして様々な角度の問題提起をしていただき議論が活性化します。

第3はコト消費的な体験です。講演を聞くだけでは受身ですが、毎月2回のネットディスカッションは自分がイベントに参加して体験するというコト消費的な満足感があります。ファシリテーターや参加者との間でつながりもできて参加そのものが楽しくなってきます。

最後は優れた付帯サービスです。2か月に1回、設定されたテーマについて考え方をまとめてメールで提出し、講師からコメントをいただけるMCCレッスンというコーナーがあります。日頃考えたことのないテーマを与えられ、なるほどと唸ってしまう講師のコメントも得られてとても良いコンテンツです。

そして、1年間やってみた結果、自分にどのような変化があったかをお話しします。
講演映像を視聴して、感想を述べ、ディスカッションを2回繰り返すと、講演内容が知識として定着し、引き出しは確実に増加しました。
最初に申し上げた講演のジャンルが幅広いことが非常に効いていますし、講演視聴後に講演者の著書を読むことが増え、知識が一層広がります。また外部の人とお会いした際に、相手が講演者を知っていてそこからコミュニケーションが広がったこともありました。

第2に、発信、対話の機会があることにより、自分の考えが研ぎ澄まされて、仕事や日常生活を改善するアイディアが継続的に生まれています。昨年12月に、今までの人生で全く接点のなかったプロゲーマーの梅原さんの講演を聞いて感銘を受け、日常生活の習慣を変えたことに始まり、会社のカルチャーをどうより良くしていくか等の仕事上の重要課題までクロシングから大きなヒントを得ています。
3番目にライティングリテラシーの重要性に気づかされたことです。ネットでのディスカッションでは短期間に自分の考えを相手にわかりやすく書くことが求められます。これが難しく無理と思いましたが、考えてみればネット社会では必要なスキルと思い直して取り組んでいます。

ここまで書いてきて気づいたのですが、考えれば考えるほどこのサービスは、学習の基本である反復、思考の基本である対話法、消費者がサービスを評価する際の基本である商品、販売者、体験の質、消費者の自由度等、全ての基本が押さえられているなと感心しました。民間企業の経営企画担当として、講演以上にまずクロシングを企画された方に是非お話をお伺いしたいと改めて感じた次第です。

講座詳細:クロシング

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