KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

学びの体験記

2008年10月14日

ケース 「M氏の教育研修機関選択行動」

M.H

そもそも、M氏が、マーケティング系の教育研修を受講しようと思ったのは、実務上の課題を解決したいと考えたためであった。M氏のこれまでの職業上の経歴は、とくに、バックオフィス系の部門やプロジェクトであることが多く、実務上、会社の予算、利益、企業価値といった、“数値”による管理をする部署であることが多かった。
M氏は、会社の中長期の売上予測を作成する時に、いつも考えていた。
「数学を利用して、ロジカルに、マーケット傾向や需給・企業活動と、売上を関連づけたいなあ」
「売上が、企業活動によって、ベースとなる予測より上方修正できるとすれば、その源泉となる企業活動や施策は、どのように策定すればいいんだろ?」
「そうだ!昔、マーケティングや、統計分析って学校で勉強したよな。使えるかな?」
このような思考過程を経て、M氏は、会社の売上に直接関連する活動である、マーケティングについて、特に、統計分析を利用して、定量的な分析を重視するスタイルの、実務研修にターゲットを定め、教育研修機関を探すこととした。


さて、社会人の教育研修機関というのは、さまざまな種類のものがある。

  • ビジネススクール(経営大学院)のエクゼクティブセミナー
  • 社内の企業独自の教育センターや、企業独自のカリキュラムによる社内研修
  • 社外の教育研修会社に委託して、実施される研修
  • 大学のエクステンションセンターの講座

など、思いつくだけでもたくさんの選択候補がある。
M氏の所属する会社では、こういった教育研修は実施していなかったので、M氏は、得意のWeb検索調査により、実務家向けに、定量的なマーケティングの実務訓練をする講座を探してみた。定量的なマーケティング講座を開催しているのは、社外の教育研修会社のほかに、ビジネススクールや、大学のエクステンションセンターなどで実施しているようであった。
まず、海外のビジネススクールでは、エクゼクティブセミナーが多数開講されており、ハーバード、ウォートン、ロンドンLBSなど、なかなかよさそうな講座はあるのであるが、なにせ価格が高い。また、海外なので、しばらくの間、仕事を離れて受講する必要がある。したがって、これらは候補からはずすこととした。
次に、マーケティング研修に特化した教育研修会社の講座が何件か見つかった。Web上で、研修内容について説明されており、かなり印象はよさそうであった。価格は、海外ビジネススクールほどではないが、それなりに高価なものであった。しかし、M氏は、これらのスクールや講師の評判がわからず、候補からはずすこととした。
その次に、大学のエクステンションセンターである。首都圏の大学には、エクステンションセンターを持つ大学が、多数存在した。これらの講座の価格は、お手ごろな感じがした。また、ハーバード大学のエクステンションセンターでは、Webによるストリーミング放送を使い、遠隔で講座が受講できるようである。初回と、2回目の授業は、サンプル商品として、いつでも無料で、見ることができた。これは、先生の教え方のスタイルを受講前に確認するのに非常に参考になるように思えた。しかし、これらは、大学の講義と同様に、アカデミックな内容のようであったので、今回の目的と合致しているかどうかがわからなかった。そのため、候補からはずすこととした。
最後に、慶應MCCである。どうやら、慶應義塾が提供する社会人向けの研修に特化した、教育研修機関のようである。「発見と創造のためのマーケティング・リサーチ」という講座があり、講師は、慶應ビジネスクール教授の井上哲浩先生であった。先生は、米UCLAアンダーソンビジネススクールでPh.Dを取得されていた。この講座であれば、少し高度な統計分析を使って、実務でマーケティング戦略を策定する訓練ができ、目的に合致しているのではないかなと思った。価格は、少し高めであるが、海外エクゼクティブセミナーと比べればかなり、お値打ちであった。
M氏は、数ヶ月に及ぶWeb調査と、慶應MCC井草さんの事前説明を考慮し、結局この講座を受講することに決めたのである。結果として、井上哲浩先生には、統計分析をマーケティング実務に活用する方法を、やさしく、明るく、楽しいキャラクターと、難しい内容をわかりやすく教えるスタイル、また、受講中、受講者側から、常に質問したり、ディスカッションしたりできる場を提供していただいたことで、楽しく学習を進めることができたのであった。
ここまで読まれて、すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、M氏とは、このエッセイを書いている私のことです。みなさんの場合は、いかがでしたでしょうか?
ディスカッション題目:
これを読まれた、みなさんは、M氏の教育機関選択行動をどのように分析しますか?
また、もし自分がM氏の立場であったら、どういう代替行動をとりますか?
慶應MCCてらこや編集局経由で、ご意見お待ちしております(ほんとに来るかな?)。

  • 本ケースは、M.Hが、独断と偏見で、「慶應MCC通信てらこや」における、討議のために作成したものであり、特定の経営管理における適否を例示するものでは、断じて、絶対ありません。
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