KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ピックアップレポート

2009年02月10日

知るを楽しむ 観るを培う 感じるを語らう ~慶應MCC夕学プレミアム『agora』のご紹介

城取一成 慶應丸の内シティキャンパス

1. 東京・丸の内に現代の「agora」を再現

古代ギリシアのポリスには、人々が集う市民生活の中心地「agora」がありました。「agora」には、祭壇や泉場が設けられ、市場が立ち、多くの市民が集い、あちこちで政治談義や哲学論議が繰り広げられていました。
ソクラテスやプラトンも「agora」で弁舌をふるったと言われています。「agora」は、市民にとって欠かせない情報交換の場であり、古代民主政治や豊かな古典文化・芸術など、新たな知を育む母胎になっていました。
慶應MCCでは、国際都市東京の中心・丸の内に、現代の「agora」を再現したいと思います。
慶應MCC夕学プレミアム『agora』は、8年間400回を越える『夕学五十講』の実績をベースに、文学、歴史、芸術、身体論、社会、サイエンスなど、多彩なテーマを少人数でじっくりと学ぶ連続講座です。多様なバックボーンの人々が、「ひとつのテーマを深く掘り下げる」ことを通して、新たな知識を得ることを楽しみ、人間観・社会観・歴史観等を培い、感性を語り合います。
知るを楽しみ 観るを培い 感じるを語らう「学び・創発・交流」の場。
それが『agora』です。
 慶應MCC夕学プレミアム『agora』
 http://www.sekigaku-agora.net/

2. 『agora』の精神

人間力モデル
人間は、多様性を内包する生き物といえます。
仕事・家庭・地域参加・社会貢献等々、さまざまな「顔」を持ち、多面的な知的社会活動を営んで生きているはずです。
一方で、私たちが身を置く企業組織は、効率性を重視するあまりに、ともすれば多様性を抑制し、ひとつの「顔」で生きることを強いることがあります。
それが結果として、人間の幅を狭め、深みを失わせることになってはいないでしょうか。
慶應MCCでは、人として、こころ豊かに生きるためには、多様な「顔」を内側から支え、バランスよく駆動させる「人間力」が必要であると考えています。
「人間力」は、「知性」「感性」「身体」の三つの要素から構成され、人間のあらゆる知的社会活動において発揮される立体的な総合力といえます。
豊かな人間力を持つことは、自らの基軸を形成し、発想を豊かにし、異質な他者への理解を促進し、失敗や挫折への耐性となるはずです。
『agora』は、参加者が人間力を醸成するための場をめざしています。

3. 重要なのは「学びを楽しむこと」

「知之者不如好之者」 これを知るものは、これを好む者に如かず
「好之者不如樂之者」 これを好むものは、これを楽しむ者に如かず
(『論語』雍也第六-二十)

成人学習理論の知見が教えてくれること、そして慶應MCC開設以来8年間の経験から私たちが確信することは、「大人の学びは、本来的に内発的な行為である」という真理です。
本人自身が、内なる欲求として、学ぶ意欲に火をつけることから、全てが始まります。
突き動かされる感情からくる自発性、未知の世界を知りたいと願う好奇心、そして学ぶことを純粋に楽しむ精神性が、「知性」「感性」「身体」を揺り動かし、全てのエネルギーを作り出していくのではないでしょうか。
義務・役割で学ぶのではない。
功利のために学ぶのでもない。
なによりも、学ぶことを純粋に楽しむこと。

『agora』では、この精神を何よりも大切にしたいと考えています。
そのために、『agora』では、講座企画にあたって下記の点を重視しています。
[講師陣は一流の文化人、芸術家、テーマは多彩]
『agora』は、第一線で活躍する一流の文化人、芸術家等が講師を務めます。講義だけでなく、体験・フィールドワークにも参加し、受講者と一緒に楽しみます。文学、歴史、芸術、身体論、社会、サイエンスなど、多彩なテーマを掲げ開催します。
[体験・フィールドワークを重視]
『agora』は、座学だけでなく、体験・フィールドワークを重視します。
古典の素読、美術館訪問、演劇創作、映画鑑賞など、頭・心・身体のすべてを使って学びます。
[「学び」と「ネットワーク」の水先案内人 -ラーニングファシリテーター]
慶應MCCの魅力のひとつに、ラーニングファシリテーターの存在があります。ラーニングファシリテーターは、講座の企画、参加者とのインタフェース、ネットワークの触媒役等々、さまざまな機能を持ち、受講者の「知るを楽しむ 観るを培う 感じるを語らう」ことを促進します。
[平日夜間、土曜日に丸の内で開催]
『agora』は、多忙なビジネスパースンにこそ学んでいただきたいと願っています。仕事に責任を持ち、プライベートも楽しみ、社会に関わっていくことにも関心がある。そんな人々が『agora』が想定する受講者像です。忙しい皆さんに学んでいただくために、平日夜間や土曜日に開催し、場所が、交通利便性に優れた丸の内であることも魅力のひとつです。

4. 『agora』6つのテーマ

◆「温故創新」
新しいものがあらゆる意味で優れているわけではない。古いものが必ずしも良いわけでもない。新しいものには改良される余地があり、古いものには再活用される要素がある。古き良きものを鏡とし、現代の課題を映し見ることで、新しき良きものを創り成したい。
◆「エクセレントブックスとの対話」
時代を経て読み継がれてきた名著、多くの人々に感動を与えてきた良書には、われわれが社会の中でより良く生きていくためのエッセンスが詰まっている。講師による解説や問題提起、議論の調整に導かれながら、自由な雰囲気の中で思索と議論を楽しみたい。
◆「芸術の扉」
太古の昔、人々は大自然の中に見えない神々をみた。薄暗い空間に描かれた洞窟壁画や、石や木を打ち鳴らした原始のリズムは、神と繋がる喜びを表現した美的体験に他ならない。時空を越えて人々を感動させる芸術の普遍性に触れることで、人類が紡いできた美のDNAを確かめたい。
◆「身体知の世界」
洋の東西を問わず、伝統芸能やクラフトの世界では、物事の本質を伝える方法として「身体で憶える」ことを重視した。身体知とは、言葉や論理を越えた知の創出と伝達の方法論と言える。ともすれば抽象化に流されやすい、言葉にできない本質論を、身体奥深くの感覚に刻み込むように学んでみたい。
◆「現代の眼」
日本が抱える課題を考える時、その俯瞰的視野は宇宙規模の広がりを持たねばならないだろう。地球を巨大なシステムとして認識し、そのサブシステムとして人類の営みを位置づけたうえで、環境問題、食糧・資源問題、地域間紛争等々、現代の我々が直面しているさまざまな問題を議論したい。
◆「サイエンスの深淵」
例えば、「生命とは何か」という根源的な問いに対しても、人類はいまだに完全なる解答を見いだしていない。それほどにサイエンスの世界は奥深い。最先端のサイエンス動向を知ることで、その深淵に立ち入ろうとする科学者が感じるという “Something Great”の存在を考えてみたい。

5. 2009年度春開催講座

●佐久協先生と読み解く【現代に活かす『論語』と『孟子』】 <エクセレントブックスとの対話>
http://www.sekigaku-agora.net/course/saku_yasushi.html
“慶應義塾高校で最も人気のある授業をする先生”として親しまれた佐久協先生と、『論語(孔子)』『孟子』を素読し、孔子・孟子の考え方から混沌とした時代を生きる知恵を身につけ、失われた元気を取り戻すことをめざします。
●林望先生と歩く【日本古典の森】 <温故創新>
http://www.sekigaku-agora.net/course/hayashi_nozomu.html
古典は、千年来「面白くあり続けた」文学です。各時代、種々のスタイルの古典作品を取りあげ、頭ではなく“こころ”で古典文学のおもしろさ、楽しさを林望(リンボウ)先生と一緒に存分に味わいます。
●慶應義塾大学アート・センター 【深耕! 芸術からはじまる新しい絆】 <芸術の扉>
http://www.sekigaku-agora.net/course/artcenter_1.html
多彩なアートの専門家とともに、美術の世界との新しい対話を楽しみます。
●平田オリザさんと創る【表現力を磨く演劇ワークショップ】 <身体知の世界>
http://www.sekigaku-agora.net/course/hirata_oriza.html
劇作家・演出家である平田オリザさんとともに、演劇の手法を用いたワークショップを通して、国際化時代に求められる表現力やコミュニケーション力を身に付けます。
●李鳳宇さんと語らう【強い映画】 <芸術の扉>
http://www.sekigaku-agora.net/course/lee_bong_ou.html
韓流ブームのきっかけを作り、ケン・ローチの作品を紹介するなど、「強い映画」の作り手として知られる李 鳳宇さんと語らい、映画鑑賞を通して、時代や社会を見る目を養います。

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