学びの体験記
2009年06月09日
出会いを通じて学び、「自分のモノサシ」をつくる
嶋岡岳史
株式会社ライジングサン 経営企画部長
昨年暮れに40歳となり、人生の折り返し点を迎えた今、自分について整理をする良い機会を与えていただき、【てらこや】編集局いぐささんに心より感謝申し上げます。とはいえ、思いつくままの駄文で、この度読者の皆様の刺激になるかどうか自信はありませんがどうかご勘弁下さい。
私がこれまで『学ぶ意識』や『知的好奇心』を維持してこられたのは、
- 上司、同僚、友人、恩師、家族など数多くの人との出会いにより多くの刺激を受けてきたこと。又、自らが新たな出会いやアイディアの融合の場をつくることにより、新しいビジネスが生まれる楽しさを教わったこと。
- 出会いや経験を無駄にせず自分の中に消化するべく、学ぶ事を習慣化させることに努めてきたこと。
だと思います。
今回、そうした自分なりの学びの構築と人生の節目となったいくつかの出会いを振り返ってみたいと思います。
大学時代、1年間アメリカの大学へ留学した時のことです。私はそれ以前どちらかというと授業よりも課外活動に重きを置く学生でありましたし、留学は「グルーバルな感覚を身につけたい」という目的はあったものの、どこか「とりあえず」という甘い感覚の出発でもありました。
ところが、そこで出会った各国からの友人達は『自分の国がどうあるべきか?』『今後のグローバル化はどうなるか?』など真剣にディスカッションしています。その時は自分の『学ぶことに対する目的と貪欲さの欠如』、『世の中に対する関心の薄さ』にかなり落ち込み、「こいつらに負けたくない!がんばらなきゃ!」と、その日を境にがむしゃらに勉強したことを覚えております。それまでの学生時代において一番「勉強したい!」と思った時期でした。又、この留学時代の友人達の出会いと経験こそが自分を大きく変えパーソナルキャピタルとなり、国を越えた友情はかけがいのないものとなっております。
会社に入り、4年ほど営業の仕事をしておりました。当時はとにかく与えられたターゲットをいかに達成するかを考えておりましたが、ある時から「自分が『こうあるべきだ!』と考える基準、考え方=『自分のモノサシ』って何だ?」と頭の中に霧が立ちこむようになりました。ちょうどその頃、会社の留学制度の試験もあり、朝早く起きて英語、モノサシ作りの為の読書や考えの整理をするようになり、それが習慣化していきました。今でも週末含め朝は早起きして学びの時間にあてるようにしております。
それからしばらくして本社転勤となり、とあるコンサルタントの方と仕事をさせていただく機会があり、この方との出会いが『自分のモノサシ』を作るイメージが湧くきっかけとなりました。仕事では、企画立案のフレームワーク、問題解決スキルなどビジネススキルの基礎を数多く教えていただき、現在の仕事の礎となっております。同時に「仕事だけでなく、人生における『自分のモノサシ』は死ぬまでブラッシュアップさせていかないといけないのだ」と感じさせていただきました。
この時このコンサルタントの方から『菜根譚(さいこんたん)』という本を薦められました。この本は、中国、明代末期に洪応明によって書かれた処世訓で、道徳的な訓戒や人生の哲理、宇宙の理法などが説かれています。仕事だけでなく人生について考えるきっかけとなった本です。
本社の勤務もだいぶ慣れてきた頃、東南アジアのグループ会社の業務に参画するといった形での長期研修を受ける機会がありました。研修期間中は本業に関する勉強も数多く行いましたが、各国のグループ社員が総じて高いレベルで持っていた『ロジカルに物事を考えること』『プレゼンテーションスキル』は大変勉強になりました。『プロジェクトマネジメント』を本格的に勉強し始めたのもこの頃でした。
そして本社で管理職になり、販売促進の仕事に就いた時上司からの勧めで慶應MCCの『マーケティングプロフェッショナル講座』で勉強する機会をいただきました。この講座はケーススタディを通して『ブランド・マーケティング』『顧客マーケティング』『コミュニティ・マーケティング』などを学ぶコースです。体系的にマーケティングを勉強したことがなかった為、講師の池尾先生、各セッションの講師の方、そしてクラスの方々の意見は大変勉強になり、今でもデスクには当時の資料やノートを置いて見返しております。またクラスの方々とは時々集まって情報交換(単なる飲み会とも言いますが・・・)を行っており、私にとっての貴重な財産となっております。
こうしてこれまでの私の学びを振り返ると、人との出会いによって支えられてきたと思います。こうした出会いに感謝の気持ちを忘れず、そして出会いを無駄にしない感度あるアンテナを持ち続け、これからも『自分のモノサシ』作りに励んでいきたいと思っております。
そして自分の学びだけではなく、これからは管理職として部下や後輩の育成にも注力していきたいと思っております。私が管理職になったときに前述したコンサルタントの方から『啐啄(そつたく)の機』という禅の言葉をいただきました。『啐』は卵の中の雛が殻をつつく音、『啄』は親鳥が卵の殻を割ることの意味で、自分の都合だけでなく、相手の動きや成長を見抜き、遅すぎず、早すぎず、その機を逃さないタイミングで育てることの大切さを説いています。管理職として、また家庭では親としての『自分のモノサシ』作りの大切なキーワードの一つとして胸にしまっております。
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