夕学レポート
2009年08月26日
自分なりの歌舞伎の楽しさをみつける
私が歌舞伎を観るようになったのは、中村勘三郎さんの襲名披露公演の年ですから、4~5年のことです。世紀の襲名披露とのことで、随分と大騒ぎをしていたので、どんなものだろうかと歌舞伎座を訪れたのが最初です。
以来、年に3~4回程度は観ていますが、いつも思うことがあります。
「なぜ、自分と同年代の人(男性)が少ないのか」
ということです。
女性は若い方からご年配の方まで幅広い客層であるにもかかわらず、男性は仕事をリタイヤされた大先輩の姿ばかりが目立ちます。
男ばかりの芝居ですから女性客が中心なのはわかりますが、演目内容には、大義と私情の相克に悩む話なんぞも多くて、「組織人の悲哀」に通ずる世界観に満ちています。
ゴルフに行く回数を減らして歌舞伎を観てもいいのになあと、いつも思います。
日本を訪れる海外の知識人は、必ず歌舞伎を観るといいますから、グローバルコミュケーションの一助として、日本のビジネスパースンも歌舞伎について多少は語れるというのもよろしいのではないでしょうか。
そんな思いで、agoraの歌舞伎講座を企画いたしました。
日本の伝統芸能を愛でる・楽しむ【Fun!歌舞伎】
講師は、京都造形芸術大学の田口章子先生にお願いしました。
北白川瓜生山にあるキャンパスを訪れて、いろいろとお話しましたが、歌舞伎ファンが高じて歌舞伎の研究者になったという筋金入りの歌舞伎好きです。
幼い頃、お祖母様に連れられて歌舞伎をはじめて観た時に、「なんて綺麗な着物だろう」と感動したというのが、最初の歌舞伎経験だそうです。
学習院で歌舞伎を研究し、京都造形芸術大学には、市川猿之助さんのご推薦で移られたと聞きました。
キャンパスには、猿之助さんが監修したという素晴らしい劇場があります。花道や廻り舞台も設置され、本格的な歌舞伎公演も出来るようになっています。
田口先生は、この劇場を使って、歌舞伎や文楽などの公演を開催するプロデューサー的な役割もしているアクティブな方です。
夕学にも登壇いただいた若手の注目株 市川亀治郎さんは、亀治郎の会と称する独自公演を開催し、評判になっていますが、最初の頃は、こちらの劇場を使って開催していたといいます。
今回の講座は、「比べて楽しむ」というコンセプトで田口先生が構成してくださいました。
・同じ芝居を役者の違いを比較しながら観る。
・江戸歌舞伎と上方歌舞伎の違いを観る。
・同じ演目を文楽と歌舞伎で比べてみる。
等々の趣向を凝らします。
義太夫狂言で重要な役割を果たす竹本と呼ばれる歌舞伎義太夫の実演者も招いて、プロの芸談もじっくり聴くことができます。
最終回は、都内で開催されている、その月の歌舞伎を皆さんで観劇するミニーツアーもセットされます。
きっと、歌舞伎を何度観ても楽しめる、面白さを発見できる「自分なりの楽しさ」を見つけられるのではないでしょうか。
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