2013年12月10日
【ほうやのロンドン便り】ロンドン冬の風物詩~寒さを吹き飛ばす楽しみあれこれ
保谷範子
ロンドンの冬は夜が長い。
12月に入ると、刻々と陽は短くなり、朝は8時頃まで薄暗く、午後3時ともなればすでに夕方の様子にて日暮れがはじまります。そのうえ、この時期はイギリス特有のどんよりとした天気が続き、太陽を仰ぐことなく数日過ごすこともざらのようです。
これから始まる本格的な長い冬を前に気分は重くなりがちですが、そんな思いを吹き飛ばすように、ロンドンの街はクリスマスに向けて華やかな装いとなり、いつもとはちょっと違う街の様子をみることができています。
ロンドンのなかでも特ににぎやかなショッピング街、リージェントストリートのクリスマスイルミネーションは11月初めより点灯し、今年は来春公開の映画『Mr. Peabody&Sherman』 (2014年2月UK公開)とタイアップしたライトアップで冬の街を盛り上げています。
リージェントストリートと交差するオックスフォードストリートのイルミネーションもまた違うデザインを楽しむことができ、寒さを忘れ、つい歩き続けてしまいます。
ロンドン中心地にアイススケートリンクがお目見えするのもこの季節の風物詩。
今年も観光名所やショッピング街など市内10か所に突如としてアイスリンクが登場し、大勢の人がアイススケートを楽しんでいます。リンクの脇には、巨大なクリスマスツリーが飾られたり、移動遊園地のメリーゴーランドが設置されたりと、スケートをしない人も十分に楽しめる趣向が凝らされ、リンクで滑る人を見ているだけでも楽しい雰囲気を味わうことができます。
この時期はロンドン中心地のクリスマスマーケットをはじめ、地元のちょっとしたハイストリートでも、町内会が主催するお祭りのようなものでしょうか、一足早いクリスマスフェスティバルを開催しているところをよく見かけます。
子供が遊園地や地元の大人が扮したサンタクロースと遊んでいるなか、大人はスパイスで香り付けされたホットワインを片手に身体を温めながら、一緒に楽しんでいます。
先週末の日曜には、近所のハイストリートでもクリスマスフェスティバルが行われました。
高さ7-8mはある大きなすべり台やゴ―カートなどの子ども用遊具が設置されたり、動物園から本物のトナカイがやってきたりと、普段の静かな通りは一変し、車両通行止めにした通りには、大人も子供もひしめきあっていました。
通りの両脇にはずらーっとストール(屋台)が並び、さまざまな食べ物や飲み物、そして手作りのニットやアクセサリーなどを売る店が続きます。ストールのなかには、今回のフィリピンへの台風被害支援など、募金を目的とした店が目立つのもイギリスらしい光景です。
存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ロンドン観光の中心地ピカデリー・サーカスにあるエロスの女神像は今の時期に限り透明なドームで覆われます。
夜になるとドーム内に雪が舞い、女神像のスノードームになっています。
実は、これは酔っ払いなどの悪ふざけから女神像を
守るためのもの。この時期は、クリスマスに向けて賑やかな季節ということもあってか、いつも以上にお酒を飲み、女神像によじ登ったりと度が過ぎる酔っ払いが増えることもあり、これまでにも何度か女神の持つ矢が折られたりなどの被害を受けているそうです。
女神像保護のための苦肉の策ではありますが、単に壁で覆うというのでないのも遊び心たっぷりのイギリスならではの粋な計らい。
イルミネーションを背景にスノードームに舞う雪のなかのエロスの女神も素敵な風景でしょう。
クリスマスまで指折り数えながら、この時期ならではの楽しいイベントにあちらこちらで出くわすことができ、暖かな気持ちになる12月のロンドンです。
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