ファカルティズ・コラム
2006年12月12日
CSとESの基本とは
『個客適温』がCSの基本であり、『心技体』がESの基本です。
窪山 哲雄
(株式会社ザ・ウインザー・ホテルズインターナショナル 代表取締役社長)
これは以前慶應MCC定例講演会『夕学五十講』にご登壇いただいた際の、ウインザーホテルの窪山社長(テレビドラマ化もされたマンガ「HOTEL」の、藤堂マネージャーのモデルとなった伝説のホテルマンとしても有名ですね)の言葉です。
CS(顧客満足)とES(従業員満足)の実現という、ホテル業にとどまらない全ての企業の経営課題に対する、非常に明快かつ汎用性の高い名言として、ここでご紹介させていただきます。
『個客適温』とは、「お客様はひとりひとり違うのは当たり前(だから「個」客)。また、同じお客様でもホテルに来られるたびに目的や状況は違っている。だから常にそれを意識し、今何をどのように(つまり「適温」で)提供すべきかを考えなさい」、というCSを実現するためのコンセプトです。
この考え、別にホテルだけに必要なものではないはずです。
営業マンとして同じ商品を売る際には、顧客それぞれの状況やニーズを考えることによって、アピールすべきポイントを変えることが重要、と読み替えることができるはずです。
皆さんの会社の顧客、そして皆さんひとりひとりの顧客(人事の方ならそれは「従業員」ですね)にとっての「顧客適温」とはなにか、ぜひ考えてみてください。
そして『心技体』とは、「経営者として従業員に対して心がけるべきなのは、『心』で引っ張り、『技』術を教え、そして『体』力を超えた仕事をやらせないこと」、というESを実現するためのコンセプトです。
これも全ての組織に適用できるコンセプトなのは言わずもがなですが、少し考えてみてください。この3つを全て実行できている経営者や上司はどれだけいるでしょうか?
仕事に対する情熱や責任感が感じられない(つまり『心』で引っ張れない)上司、『技』術もろくに教えずに、膨大かつ難易度の高い(結果的に『体』力を超える)仕事を押しつける上司。そんな上司や経営者は皆さんの周りにいませんか? そしてあなたがそんな上司になっていませんか?
仕事はひとりでやるものではありません。組織で結果を出すためには、この『心技体』は全ての経営者やマネージャーが心に刻むべき言葉でしょう。
企業の永続的発展のためには、CSとESどちらも不可欠です。
数多くの書籍でもそれは語られていることではありますが、窪山社長のこれらの言葉は、我々に短いセンテンスでわかりやすく、かつ多くの示唆を与えてくれるはずです。
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