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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2011年09月22日

後悔を少しでも減らすには

昨日の台風、みなさん大丈夫でしたか?
ここ首都圏においては、ビジネスパーソンの帰宅時を台風が直撃したため、多くの交通機関がストップし、3.11以来の大量の帰宅難民がニュースとなりました。
ご多分に漏れず私もそのひとり。
通勤の足である東西線は元々風に弱く(江戸川を渡る橋があるため)、今回も早々と止まりました(笑)
私は3.11の経験と台風のスピードから「待っていれば夜遅くには動き出すだろう」と考え、どうせその日の内に終わらせなければならない仕事もあったので、職場で待つことにしました。
結果的に予想より少し遅かったものの22時過ぎには電車も動きだし、無事日付が変わる前には帰宅することができました。
その点私はラッキーな部類でしたが、私の奥さんは別ルートで帰宅を試み、トータル5時間かけて家に帰り着いたとのこと。「もう疲れた!」といささかオカンムリでした(笑)
ただそれでもその日のうちに帰り着けただけラッキーだったのかもしれません。テレビで、またtwitterでは同情するしかない人達がたくさん取り上げられていました。
そして今日、twitterで知人達と「昨日どうした?」という話になったのですが…

幸い私の知人達もさほど苦労せずに帰宅できたようです。
そしてある知人は、私の「会社で電車が動き出すのを待つ」という選択に対して「ん、正しい!」と言ってくれた後、こうツイートしました。
「昨日の帰宅時に思ったのは、結局「どこで待つ覚悟があるか?」だと思いました。早く出て地元までの電車が動かなかった場合に、駅で待つか、電車の中で待つか。あるいは会社で仕事しながら待つか。」
なるほど、『覚悟』か。
要するに自分の決断(選択)がどのような結果となろうが、それを「自分が決めたことだから」と受け入れ、決して他人のせいにしないこと。
これができていれば、たとえ予想が外れて(たとえば私の決断でいえば、結局風が治まらずに電車が動かず会社に泊まることになる、など)も、「仕方がない」と達観することができる。
まあ人間ですからそれでも落胆したりイライラしたりはするでしょうが、そうした負の感情をかなり軽減することができます。
確かに自分の決断に後悔しないために、この『覚悟』は重要だと言えそうです。
しかし、この「後悔しない」ためには他のポイントもありそうです。
私は、『覚悟』と合わせて”後悔しないための3つの心がけ”があると考えました。
それを時系列で整理してお伝えすると…


1.想定
 決断の選択肢を複数挙げ、それぞれの選択が状況変化によってどのような結果をもたらすかをシミュレーションする。
 その際「○○だろう」という楽観的なシナリオだけでなく、必ず「××かもしれない」という悲観的なシナリオも考える。
2.優先順位
 各選択肢からどれかを選ぶための判断基準を明確化する。
 たとえば今回のケースで言えば、「自分のためか、家族のためか」「スピード優先か、楽さ優先か」「肉体的楽さか、精神的楽さか」など、様々なモノサシ(判断基準)を挙げた上で、その優先順位をつけ、それを元に意志決定(選択)する。
3.覚悟
 一度決断したら責任は自分で取る。他人に責任転嫁せず失敗しても「仕方がない、自分で決めたことだ」と割り切る。


いかがでしょうか。
確かに『覚悟』は重要ですが、覚悟を決めるためには自分がどのようなプロセスでその選択に至ったかを認識しておく必要があるはずです。
「これだけ考えたのだから」という自信があれば、どのような事態になっても(100%は無理でしょうが)悠然と構えることができます。
そのための『優先順位』であり、その優先順位づけを行うための『想定』なわけですね。


ところで、これはもちろん「帰宅難民になった場合」だけではありません。
私たちの仕事で、そして日常生活の様々な”決断”においても適用可能です。
※ちなみに「ランチ何食べよう」などはここでは”決断”には含めません(笑)
来年度の重点販売商品をどれにするか。
家を買うべきか賃貸でいくか。
今後の影響の大きな”決断”において、誰しも後悔などしたくはないはずです。
ところが私たちはそれを意外と安易に行ってしまう。
その場の思いつき、誰かの一言、そして前例踏襲というやり方で。
決断のその先を想定し、判断基準の優先順位をつけて決断(選択)する。
そして決断したら覚悟を決める。
今回の台風から、またひとつ学ばせてもらいました。


人生なんか後悔の連続です。
だから少しでもその後悔を減らしたい。
あなたもそう思いませんか?

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