ファカルティズ・コラム
2012年04月06日
門出の君へ ~「無駄に頑張るな」
春一番と呼ぶにはあまりにも強烈な嵐で幕を開けた4月。
風雨に負けず東京でも今盛りを迎えた桜のように、今年もたくさんの新たなビジネスパーソンが生まれました。
ただでさえ厳しい就職戦線。それに加えて昨年の震災や円高と、彼らは大変な時期にビジネスの荒海に乗り出しました。
昨年もこのブログで、新社会人に対して「『怖い』とのつきあい方」を説いたわけですが、今年も(すでに6日ではありますが)私なりの彼らへのエールを贈りたいと思います。
今年のメッセージはヒトコトで言えば、「無駄に頑張るな」です。
「無駄に頑張るな」というと、「無理せず気楽に行こう」という意味に取られるかもしれませんが、それはまったく違います(笑)
はっきり言って無理をしなければならない場面はこれからたくさんあります。
いや、今の自分にとって無理なことに挑戦せず、できることだけやっていては人は成長しません。
だから無理しましょう。
もっと正確に言うと、「一見無理に見えること」に対して怯まずに取り組みましょう。
トレーニングによって筋肉(筋力)がつくのも、あえて筋肉に負荷を掛けて無理をさせるからです。
そうするとダメージ受けた筋肉は、「今度はこの負荷に耐えられるようにならなければ」とよの太く、強くなるのです。
「少し背伸びをした無理」は筋肉だけでなく、人にとっても、いや組織も含めた生命体にとっては成長のための必須条件なのです。
ただ、ここで重要なのが「少し背伸びをすること」、つまり「頑張ればなんとかなるかもしれないこと」にチャレンジすることです。
できもしないことに頑張っても、残るのは挫折感や徒労感。もちろんその挫折をバネにしてモチベーションとしたり、また学ぶことも可能ですが、長い社会人生活をスタートさせたばかりの皆さんにはあまりお薦めしません。焦る必要はないのです。
そう、この「できもしないことを頑張る」のが今回のテーマである『無駄な頑張り』のひとつの形です。
「スタートダッシュが肝心」と言いますが、皆さんが走り始めたのは長距離走です。あまり最初から高いレベルで飛ばしすぎるとバテてしまいますよ?
しかし、実はこの『無駄な頑張り』、今のを含めて3つあります。
ふたつ目が「好きなこと/得意なことだけを頑張る」こと。
これ、要するに前述した「背伸びしなくてもできることに時間を費やす」ということです。
「私は頑張っています」と言っても、自分が無理なくできることだけを一生懸命やっていても成長しないのは先に述べた通り。
そして3つ目が「頑張る必要がないことを頑張る」こと。
他人や機械がやってくれること、つまり「自分の守備範囲ではないことを頑張る」のは無駄以外の何物でもありません。
「自分は新入社員だから」と思って朝早く来てオフィスの掃除をしても、それはお掃除を生業とする人の仕事を奪っているだけです。
また、頑張るタイミングが違っても、それはやはり『無駄な頑張り』です。
「今頑張る必要がないこと」、たとえば管理職としてのマネジメントを新入社員が勉強する必要はまったくありません。(まあこれは極端な例ですが)
「できもしないことを頑張る」「好きなこと/得意なことだけを頑張る」「頑張る必要がないことを頑張る」。
これらが『無駄な頑張り』です。
さて、ではどうしたら「無駄なく頑張る」ことができるようになるのでしょう。
ポイントは2つ。
1. 今、何を頑張るべきか見極める
2. 頑張り方を工夫する
つまり頑張りのコンテンツとプロセスをしっかり考えることです。
1. については既にヒントを提示しました。
まず、自分の得意なことと不得意なことを明確にし、組織から求められる役割と照らし合わせてみる。そうすれば「自分は何を背伸びすべきか?」が列挙できます。
後はその項目の難易度と必要となる時期をモノサシにすれば、おのずと「今何を頑張るべきか」が見えてくるはずです。
2. についてはヒトコトで言えば「頑張る計画を立てる」こと。
今頑張ることが複数ある場合にそれらを同時並行的に、また行き当たりばったりに頑張っても効率が悪すぎます。
「どれから頑張るのか」「どの順番で頑張るのか」スケジュールを立ててみましょう。
そしてスケジュールを立てるためにも必要となるのが『具体化』です。
◆「頑張る」とは具体的に何をやるのか?(勉強か実践か?)
◆それをどうやってやるのか?(勉強であれば書籍かセミナーか? 等)
◆どうなったら「充分頑張った」と言えるのか?(ゴールはどこか?)
これを明確にしましょう。
そうでないとせっかくの計画が、かけ声倒れに終わります。
ここまでやれば、あなたはきっと「無駄なく頑張る」ことができるし、頑張った成果は必ず出ます。
そしてそのプロセスは、そのまま『仕事の進め方のトレーニング』にもなるのです。
ぜひ、無駄なく頑張って成長し、組織と社会、そしてあなた自身に良い結果をもたらしてください。
期待しています。
さて、新社会人へのエールということで語ってきましたが、カンの良い方はお気づきでしょう。
本日のエントリーは新人・ベテランを問わず、本来は全てのビジネスパーソンが意識すべき内容だということに。
別にこれを手間暇かけて紙に書いてやる必要はないのです。
こうした『自分を成長させるダンドリ』があまり意識せずともできるようになること。
それが重要なのです。
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