ファカルティズ・コラム
2016年11月28日
情報提供のモラル
ここ数日、ちょっとした炎上状態となっている『ウェルク(WELQ)』。
ウェルクとは、DeNAが運営する「ココロとカラダの教科書」を標榜するキュレーションメディアです。
では、なぜこのサイトが炎上したのか。
それにはいくつかの理由があります。
1.非科学的な内容やデマが多い
仮にも「ココロとカラダ」の健康に関する情報を扱うのなら、非科学的な内容やデマは「あってはならない」はずです。
というのもこうしたサイトの利用者は「ココロとカラダになんらかの不安がある人」がほとんど。
そこに非科学的な内容やデマがあれば、それこそ「藁をもつかむ」思いでそれを信じてしまう人がいるのは当然です。
肩こりの原因で「幽霊が原因のことも?」などと書いてあるのは、もはや笑うしかありません。
現役のお医者さんが、ウェルクの間違いを具体的に挙げていますので、ご参考まで。
2.責任逃れに終始している
さらにこのサイトの問題は、内容に問題がある可能性をわかっていながら、責任逃れのための布石を打っているところです。
サイトをご覧いただければ一目瞭然ですが、「~と言われています」「~と言う人もいます」と伝聞の形を取り、「自分たちが言っているのではない」という形態を取っています。
また、各方面から記事が問題視されるようになって、ようやく「医師や薬剤師などの医学的知見を有した専門家や外部の薬機法等の知見がある専門家による監修を始めることをお知らせいたします。」というリリースを出しました。
というか、今までまったく専門家による監修が存在しなかったことの方が驚きです。
中途半端なリスクマネジメントは大問題を起こす、という悪い見本です。
3.記事の盗用が多い
これも各方面から指摘されているように、巧妙に表現を変えて様々なサイトから記事を盗用しています。
クラウドソーシングで記事をライターに書かせているのですが、盗用とバレないような指導は徹底していたようです。
さて、ここまで問題が多いにも関わらず、問題のある記事の削除もほとんどしないまま、サイトは継続しています。
どう考えても、一度閉鎖して出直すのがスジだと思うのですが、その気はないようです。
であれば、私たちが微力でも「ここは参考にしない方がいいよ」と言い続けるしかありません。
もちろん、ウェルクの記事には有益な情報もたくさんあります。
しかし、多くの利用者は、それが科学的に間違っていないかどうか、そして盗用かどうかは判断できません。
一面に生えたキノコの、どれが毒キノコかはわからないのです。
だとすると、そのキノコ畑は立ち入り禁止にするのが当然のはずです。
しかし、これはウェルクだけの問題ではありません。
記事の内容がどんなにいい加減であろうが、また盗用であろうが気にしない。
アフィリエイト、つまり広告収入を上げるためだけに運営されているサイトはたくさんあります。
大手のDeNAがそれをやっている。
その罪は深いと思いませんか?
大手ということで言えば、私がもうひとつ問題視したいのが「まぐまぐ」です。
このMAG2NEWSというサイトは、「2万以上の専門家が発信する総合ニュースサイト」をうたっていますが、要するに「オススメのメルマガ」から抜粋しているだけです。
これのどこが「ニュースサイト」なのでしょうか。
実際、たとえばこの記事なども、事実誤認の多い「トンデモ」記事です。
ファッションやエンタメならまだ許せます。
しかし、何度も言いますが「健康」について情報提供するのなら、そこには高いモラルが求められます。
「信じるかどうかはあなた次第」という態度は指弾されるべきなのです。
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