ファカルティズ・コラム
2022年09月16日
サスティナブルの鍵は「手のかからない新陳代謝」?
地球環境などSDGsの話だけでなく、ビジネスもサスティナブル(持続可能)であることが求められます。
では、どうやったらサスティナブルにビジネスが実現できるのか。
私はその鍵は「手のかからない新陳代謝」を促す仕組みの構築にあると考えます。
まず、その一例として『ウマ娘』で考えてみましょう。
エンタメコンテンツをサスティナブルにするための必要条件は「新規顧客のハードルを下げること」と「既存顧客を飽きさせないこと」です。
新規顧客のハードルを下げるためには、たとえばソシャゲであれば初期の難易度を下げたり、対人戦でガチ勢と当たらないようにする、などの施策がとられています。
そして既存顧客を飽きさせないようにするためには、ステータス上限の解放や新シナリオの追加であったり、新キャラクターの実装などがあります。
上記の施策は当然ウマ娘でも採られているわけですが、他のソシャゲと異なるウマ娘の利点は「新キャラクターの実装」です。
そう、史実に存在する実際の名馬をモチーフとしている点です。
もちろん完全オリジナルのコンテンツでも新キャラ実装はできますが、それが顧客に支持されるかどうかは蓋を開けるまでわかりません。たとえばポケモンでも不人気キャラはいます。
その点、実在の名馬は史実としての重みが違います。血統や実際に走ったレース、そして騎手や調教師たち人間も絡んだ全て異なる「物語」があります。
どんなに詳細な設定を考えても、架空のキャラクターでは絶対にかなわない重みがあり、また必ずその馬のファンがいます。
だから一般的にはオグリキャップやディープインパクトほど有名でなくても、「ついにコパノリッキー実装!」と競馬ファンは歓喜するのです。
これは真似のできない「強み」です。
ここで本日のテーマに戻りましょう。
「新陳代謝」とは、まさに新しい仕組みやキャラの実装を意味しますが、ポイントは「手がかからない」という点です。
先の述べたように、ウマ娘は「史実」をベースにしているため、たとえ馬主からコンテンツ内での使用許可が下りない名馬がいても、名馬はまだまだたくさんおり、さらに毎年「スター」は生まれています。
今秋のG1スプリンターズステークスの有力馬であるメイケイエールなどは、実馬のキャラクター性も抜群(話すと止まらなくなるので割愛します)ですし、かつ馬主さんも「ぜひウマ娘に!」とおっしゃっています。
そう、キャラデザなどは必要ですが、ウマ娘というコンテンツで追加される新キャラクターは、「人気が出ることがほぼ約束されている」のです。
これが「手のかからない新陳代謝」です。
前置きだったはずのウマ娘でかなり文字数を使ってしまいました(笑)
さて、皆さんがご存じの「手のかからない新陳代謝」、他には何か思いつきますか?
ウマ娘に近い分野としては、野球やサッカー、そして競馬といったスポーツのゲームもそうですね。
ここで私は『Youtube』と『クックパッド』を挙げたいと思います。
この2つのWebサービスの共通点は、「コンテンツの量が競合のサービスより格段に多い」ということ、そして「コンテンツはユーザーが勝手に増やしてくれる」です。
こうしたWebサービスの「顧客」は動画やレシピを見るために訪れる視聴者に加え、動画やレシピをアップロード(投稿)してくれるコンテンツサプライヤーの両者です。
さらにそのどちらにも該当する顧客も多く、またそうしたヘビーユーザーは同サービスのプレミアム版、つまり有料会員である率も高くなります。
仕入れ先がお金を払って売りであるコンテンツを増やしてくれる。
非常にうまくできたビジネスモデルと言えます。
ただそれは両サービスの運営側の仕組みあればこそ。Youtubeは動画配信者が収入を得られる、そしてクックパッドはレシピ提供側が「つくレポ」を通して自己肯定感が得られる「仕組み」がこのビジネスモデルを成功させたと言えるでしょう。
この「顧客=仕入れ先+サービス享受者」というモデルは、リアルの世界では「ブックオフ」のようなリユース/リサイクルのサービスが挙げられます。
「手のかからない新陳代謝」。他にはどんな事例があるでしょう。そしてあなたの会社ではこの考え方をどう応用できるでしょうか。
考え方としては、まず「我が社の商品・サービスの新陳代謝とは何か」と定義することから始めてはいかがでしょう。
それが明確になったらね「どうやって手をかけずにその新陳代謝を促すか」を考えてみる。
その際、「ユーザー参加型」や「自治体との連携」「J/Bリーグなど地域スポーツとの提携」といった自社単独ではなく「パートナーシップ」を視野に入れると良いでしょう。
時間を含めたリソースは限られています。ぜひ「手をかけない新陳代謝」について考え、サスティナブルなビジネス実現してください。
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