KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2019年11月12日

佐宗 邦威「想いを形に変える方法論」

佐宗邦威

あなたの中にある不確かな未来はいつも明るい

将来の理想的な生活を、あなたはどれだけ具体的に描いていますか。自分や自分の大切な人が幸せで、仲良く、こころが沸き立つような将来のイメージを持ちながら生活していますか。夢見た世界が実現するかどうかはわからないけれど、夢を見なければその世界が訪れることはありません。
株式会社BIOTOPEの佐宗邦威さんは、テクノロジーがもたらす日々の変化の速度が人間の一般的な予測をはるかに超えることから、人が今後もよりよい社会を実現していくには、予想だにしない将来としてのビジョンを描く必要性があるといいます。例えば、ドラえもんの道具のように、「こんなものがあったらいいな」という夢を描くことです。また、イーロン・マスクのように「2035年までに火星に行くんだ」と明るく宣言することです。
どうやってやったらよいのかというと、佐宗さんがいうには、こうです。


まず、〇〇だったら幸せだなとか、××だったらどうするかなど「妄想」してみます。佐宗さんは自分自身に問いかける妄想質問として、「もし100億円あったらどうするか」を挙げています。とにかく自分の気持ちを書き出してみるジャーナリングを日課にすることも、妄想の出発点になります。
次に、それを「知覚」します。描いた世界や希望がどのような要素を含むのか、詳細にビジョンを観察して、具体化していきます。絵にかいてみるのも一案です。また、ある程度完成したビジョンを「組換」えていきます。絵の中から本当に自分が求めている要素は何なのかさらに見極めたり、そのビジョンを自分の好みにより引き寄せるために部品を違うものに換えたりします。そして最後に、「表現」します。できれば他人を巻き込み、ビジョンに取り掛かる自分が後戻りできないようにします。例えば、小さな展覧会をやるのもよし、飲み会の場で、友人に描いたビジョンを語るのもよしです。
佐宗さんは、この一連のプロセスは自分自身の内省であることが重要だといいます。そのためには、妄想したり、自分を見つめなおしたりする時間や余白が必要だと。それから、似ている考え方に、デザイン思考というプロセスがあるのですが、この場合は他人が抱える課題を形にしていくことです。自分ではなく、他人(多くの場合企業にとってのお客様)のニーズを形にしていくプロセスであり、マーケティング活動で行われることが多いのが事実です。佐宗さんはこのデザイン思考を用いた企業の他者支援に携わるよりも、自分(企業)がビジョナリーになるための方法を普及させたいとのことです。静かに瞑想したり、ジャーナリングしたりする中で、自分自身がどのような世界を描くのかが、その世界を実現する第一歩になるというのです。
けれど思うに、多くの日本人にとって、眉唾物の将来に対する不信感は拭えていません。不確実な未来をイメージしたところで、片方の口角を上げてニヤっと「いやこんな未来は現実になりっこないよな」と言ったりしそうです。今日の生活が明日も続くという確証はないのもなんとなくわかっているけれど、その実感は小さく、海外の人たちに比べて未来をイメージする力には非常に乏しいように思います。未来をイメージしてみようと試みるとなんだか暗雲が立ち込める世界になったり。けれど、佐宗さんはそんな人たちにビジョンを描かせるような強制力を使うことは、理想的ではないとのこと。人々がビジョナリーになることを楽しむことが必要だそうです。
だったら、私は、もっと多くの人が明るい未来を信じて、毎日楽しく生活する世界を期待します。例えば、オフィス環境。基本的にオフィスの外は森で、15m級の高さがある木々が茂っている。窓を開けながら仕事をしていても、雨や虫は入ってこず、いつでも新鮮な空気を吸うことができる。無駄なアロマは不要。不自然なクーラーの冷たさは人を病気にするから嫌だけど、体感温度はちょうど22.3℃がいいかなぁ。できれば湿度低めで。イスは綿のようにフカフカだけど絶対腰が痛くならなくて、そのまま8時間寝れるくらい体全体を支える機能もほしい。
とまぁ、ジャーナリングをつらつらと。今後も習慣にしよう。これ、けっこう面白い。
(沙織)

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