夕学レポート
2009年03月18日
第10回 5/26(火)竹森俊平さん
第10回5/26(火)の講師は、慶應義塾大学経済学部教授の竹森俊平先生です。
昨秋に発した金融危機以降、金融危機の発生原因や資本主義のこれからをテーマにした書籍が山のように出版されました
そんな中で、多くの識者から高い評価を得た数少ない良書のひとつが、竹森先生の『資本主義はお嫌いですか』でした。
この本が発売されたのは昨年の夏の終わりですから、金融危機のインパクトは、専門家の間の議論であって、私たち自身の問題として眼前に立ち上がる前のことです。
しかもこの本で多くの紙面を割いているのは、サブプライムローンが及ぼす世界経済への危険性について論争がかわされた米国の経済学会の様子ですが、その会議が行われたのは2006年の夏のことでした。
つまり、今回の危機はすでに3年前から多くの経済学者の間で予見されえたもので、突如として発生したものではないことがわかります。
しかし残念ながら、予見できることが支配的な言説となるかどうかは別物で、世界の叡智を集めた場であっでも、時の勢いに流されていくことが止められなかった様子がよくわかります。
どうやら、私たちが選んだ資本主義というシステムは、いつの時代も予測不能な新たな問題を発生させるメカニズムを内在しており、永遠に不確実なままであるようです。
少なくとも、資本主義にまさる思想や制度がない以上、次々と生まれてくる資本主義の弱点を見つけては分析し、手だてを考え、対策を打つという行為を、永遠に続けていくしかありません。
私たちには、その現実を冷静に受け止めて、一時の享楽に浮かれることなく、資本主義と付き合い続ける覚悟をしておく必要がある。
竹森先生は、きっとそんなお話をされるのではないでしょうか。
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