夕学レポート
2008年03月10日
第6回(5/16) 山中伸弥さん
第6回(5/16)の講師は、京都大学 iPS細胞研究センター センター長の山中伸弥先生です。
iPS細胞とは、神経や心臓の筋肉などさまざまな細胞に変化できるヒトの人工多能性幹細胞のことです。
iPS細胞のように、さまざまな細胞に変化する機能を持つ細胞を「万能細胞」と呼び、ここ数年世界中で研究が進められてきました。
有名な「ES細胞」も万能細胞のひとつですが、こちらは、受精卵から作製しなければならなかったことから、倫理上の問題が指摘され論議を呼んできました。
iPS細胞は、皮膚などから作成することが可能で、倫理上の問題をクリアできることから、世界中から注目されている最先端の研究分野とのこと。
山中先生は、昨年秋に、世界ではじめてヒトのiPS細胞を作り出すことに成功し、一躍「時の人」となりました。
iPS細胞の研究が進めば、ケガや病気で身体を損傷した方の再生医療に大きな可能性が開けるでしょうし、人工的に心臓や肺などの臓器を作ることが出来れば、新薬の臨床実験なども飛躍的な進歩が期待できます。
世界中の人々が待ち望んでいる研究といって良いかも知れません。
山中先生の発表をきっかけに、政府もiPS細胞の研究支援に乗り出しました。
京大にiPS細胞研究センターが設置され、2009年には5階建ての最先端の研究拠点が出来るそうです。東大や慶應など他大学との研究連携も一気に動き出しました。
国をあげて研究を推進する環境が整いつつあります。
山中先生は、もともとは整形外科医として医療の最前線に立っていた医師です。
臨床の現場で、リュウマチや手足の変形に苦しむ患者の姿に直面し、抜本的な治療法の必要性を痛感して、基礎研究に転身をしたという経歴の持ち主です。
iPS細胞の研究は、山中先生にとって、知的好奇心から選んだ研究対象ではなく、現実の問題を解決するための、強い使命感に突き動かされて取り組んだスピリチュアルな仕事なのかもしれません。
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