2016年02月09日
マンハッタンで学校に行く(2)
娘が通うPre-Kは自宅から約20ブロック、徒歩で30分ほど。1人ならサクサク歩いていい運動かもしれませんが、2人の子連れで1日に往復×2回の送り迎えはきつい、、、スクールバスがないので、親かベビーシッターなど保護者が付き添って学校への送迎を行います。
子供の誘拐や性犯罪の多いアメリカでは13歳未満の子供を一人で歩かせてはいけないのです。
こわーい・・・・・子供にGPS内蔵したい・・・
東京のように小さな女の子が一人で山手線乗って通学してるとか、アメリカ人が見たら仰天しそう。留守番とか、鍵っ子とか、はじめてのおつかいとか、もう絶対ありえません。万が一そんなことしようものなら親は育児放棄で通報されて、逮捕されるそうです。
ホントに怖い・・・・・ネグレクトに対する意識が日本と全然違います。
そんなわけで、日本なら電動ママチャリ前後に子供2人乗せて15分かそこらの距離を、交通量の多いマンハッタンでそんな命を捨てるようなことはできるはずもなく、公共のバスを使って往復1時間かけて送り迎えをする毎日が始まりました。
教室まで送り届けると名簿に保護者のサインをし、お弁当持参かスクールランチ希望か、チェックを入れます。母親的にはその日の気分次第でお弁当作りをさぼれるのは大変ありがたいのですが、よくよく考えると、これってムダが多いのでは?
おそらく全員分のランチがとりあえず用意されていて、お弁当を持参した子の分は破棄されているのだと思いますが「もったいない」という日本語をつい教えてあげたくなるのはこんな時・・・。
当初は1食1.75ドル(約200円)かかるという話でしたが、いつになっても請求書がこないと思ったら、ある日突然担任の先生から
「ランチは無料になりました」と通達が(メールで)
そんなテキトーでいいの?!とツッコミたくなりますがいいんです、きっと。計算する人件費の方が高くつくのかも?!
そしてそのメニューはというと・・・・
なんていうか全体に茶色っぽい・・・
ピザ、バーガーなどが中心で野菜は少なめ。そりゃもう日本の保育園で出してもらっていたような素晴らしい栄養バランスの給食とは雲泥の差でして、日本人母からすると、毎日食べさせるのは些か心配な内容ではあります。とはいえフリーランチに贅沢は言えません。
ランチだけでなくニューヨーク市の公立学校では朝ごはんも無料で出てくるのには驚きました。こちらも内容の是非には賛否両論あるようですが・・・・
他のクラスに日本人の同級生は数人いるものの、クラス14人のうち日本人はうちの子1人。属性の似た子が集まる私立と比べると比較的多様なのが公立の特徴でもありますが、その人種構成がおもしろい!
私からするとぱっと見には、どの子もみんな”アメリカ人”に見えるのですが、よくよく親御さんと話してみると、母親がアメリカ人、父親はイタリア人、家ではパパはイタリア語で話しかけています。
という子や、
母親はヒスパニック系、父親はシンガポール人、中国語とスペイン語も話せます。
みたいな子ばかりなのです。
学校生活に慣れて英語を話す方がだんだん楽になってくると、母国語を忘れていくというので、我が家ではうちにいる時は日本語を話すよう娘には言って聞かせていますが、同じような悩みをもつ家庭も少なくないようです。
東京ならお父さんが大阪弁でお母さんが東北弁、みたいなことはあるかもしれませんが、それがグローバルになったような感覚的にはそんな感じです。
この街の縮図のよう!
きっと日本にいたら気弱な我ら親子は、”みんなと同じ”じゃないとどこか不安で、そのことを良いとも悪いとも考えることさえなかったかもしれません。
”みんなちがって、みんないい”
金子みすゞの詩のような世界をとても自然な形で、極々当たり前に、こんな小さなうちから肌で感じられること。それはものすごく幸運でありがたいことなのだと、娘がお友達と楽しそうに遊ぶのを見るにつけそんなことを思う今日このごろです。
- 寺尾 美香(てらお・みか)
- 慶應丸の内シティキャンパスで4年9カ月間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。2014年4月よりNY在住。
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