ファカルティズ・コラム
2007年02月09日
“考え抜く”習慣をつけよう(3)
引き続き、“考え抜く”ために意識すべき『4つの疑問符』から、今回は「So What?」についてお話しします。
(3) So What?(それで?)
前回は演繹的論理展開の例を使って、一般論や常識を「True?」と疑うことの重要性を説明させていただきました。
今回はもうひとつの論理展開の基本である、帰納法を使って考えてみましょう。
ちなみに帰納法とは、複数の情報(観察事項)から、なんらかの共通点や法則性を読み取り、結論を出す論理展開です。
では、まずは演習問題に取り組んでみましょう。
以下の観察事項から、あなたは何を結論として述べますか?
【マンガ原作の連続テレビドラマ】(前年度以前からの継続作品除く)
<2004年>
◆ファイアーボーイズ
◆農家のヨメになりたい
◆南くんの恋人
<2005年>
◆H2 君といた日々
◆アストロ球団
◆アタックNo.1
◆花より男子
◆海猿
<2006年>
◆喰いタン
◆Ns’あおい
◆小早川伸木の恋
◆夜王-YAOH-
◆医龍
◆サプリ
◆レガッタ 君といた永遠
◆怨み屋本舗
◆鉄板少女アカネ!!
◆のだめカンタービレ
◆だめんず・うぉ~か~
◆アンナさんのおまめ
(参考:テレビドラマデータベース)
さて、いかがでしょうか。
「マンガは質の高いストーリーの宝庫である」
「脚本家の質が落ちてきている」
「テレビ局はドラマづくりに手を抜いている」
「2007年はほとんどの連ドラがマンガ原作になるであろう」
「いずれアメリカでも日本のマンガが原作の映画が増えるはず」
「医療ドラマは2006年特有のトレンドである」
「アニメはまだまだ市民権を得ていない」
等々、他にも様々なことが“言える”はずです。
こうして「これらから何が見えてくる? 言える?」と考えるのが、「So What?」です。この「So What?」を諦めずに自分に問う力こそ、『情報を読み解く力』と言えるでしょう。
ところで皆さんの中で、部下をお持ちの方も多いと思いますが、こんな経験はありませんか?
あなた:「この商談だけど、どんな状況?」
部下 :「はい、~になってまして、そして先方は~とのことです」
あなた:「ふむふむ。で?」
部下 :「だから~になってまして、そして先方は~とのことで・・・」
あなた:「それは今聞いたよ。それで? 要はどういう状況?」
部下 :「いやだから今言った通りの状況で・・・」
「だからウチが取れそうなのか、競合に取られそうなのかどっちなんだ!」
と怒鳴りたいのを我慢している上司の顔が目に浮かぶようです。
個々の事象を総合すると、どういう状況だと言えるのか、そしてそこから何をすべきだと思うのか。
これってビジネスや生活全般の様々なシーンで、必要不可欠な頭の使い方のはずです。
上記のような定性情報だけでなく、市場調査のデータや財務諸表等の定量情報にしても、そこからなんらかの共通点や法則性を見つけることができなければ、データは何の価値も無い単なる数字の羅列に過ぎません。そればかりか、問題解決や企画づくりもおぼつかないことも明らかです。
ですが、これができない人、いやそもそもこれをちゃんとやろうとしない人が、残念ながら多いと思うのは私だけでしょうか?
皆さん個人と周りの人を思い浮かべるとどうですか?
脳みそに汗をかきながら、「何が言えるか?」と本当に自分の頭で考えていますか?
「そう考えると自分もできていないなあ」という方、心配はご無用です。
なぜなら、この「So What?」という頭の使い方(つまり『情報を読み解く力』)、トレーニングによって高めることが可能だからです。
トレーニングといってもたいした準備も時間もかかりません。
たとえば、その日の新聞の1面(社会面でもスポーツ面でも、また組み合わせも可)を読んで、「これらのニュースから何が言えるか?」を考えてみるのもいいでしょう。そうすれば、今の日本経済の状況が見えてくるかもしれませんし、次の選挙の行方が見えてくるかも知れません。また、皆さんの会社の課題や仕事のヒントが見えてくることもあるでしょう。
ここで何も思いつかなくても、諦めてはいけません。とにかく思考停止せずに考え抜くことが大切です。
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ちなみにこの“思考停止せずに考え抜く”ことを、前回のエントリーにコメントとトラックバックをいただいた鈴木さんは、ご自身のブログの中でこれを「歩く」という行動に置き換えて、
> 「止まらないで歩け」
> 「辿り着くまで歩け」
と表現されてます。非常に分かり易いメタファーですね。
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別にこのトレーニングは新聞でなくても構いません。テレビのニュース番組でもいいし、電車の中吊りの週刊誌の広告でも、2ちゃんねるのニュースヘッドラインでもいいのです。
また、慣れてきたら新聞のコラムを数行読んで、その後「自分なら何を言うか?」を考えてから続きを読む、というのも手軽なトレーニングとしてお勧めします。
こうした「So What?」を問い続けるトレーニングを通して、『情報を読み解く力』を磨いていってはいかがでしょうか。
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