ファカルティズ・コラム
2007年05月14日
『問題な問題解決』という問題を解決する(2)
前回は『問題な問題解決』を行ってしまう背景として、2つの“思考の癖”があるということをお話ししました。
(1)How思考
・問題解決を急ぐあまり、すぐ「どうしよう?」と考えてしまう癖。
・「深く考えない」癖とも言える。
(2)is思考
・考える際の枠組みが固定化され、「A is B」と短絡的に考えてしまう癖。
・「広く考えない」癖とも言える。
今回は、この“How思考”“is思考”から脱却するための課題について考えてみたいと思います。
さて、この2つの癖の特徴から『広く・深く考える癖をつける』という課題を設定すれば、その処方箋のひとつとして、以前のエントリー「考え抜く習慣をつけよう(1)~(4)」でお話しした『4つの疑問符を問う』が活用できるはずです。
「Why?」や「True?」を問うことは深く考えることに他なりませんし、「So What?」や「Another?」を問うことは広く考えることを習慣づけるトレーニングにもなるからです。
ですが、今回は別のアプローチで考えてみましょう。
この“How思考”と“is思考”、並列しているようにも見えますが、“is思考”→“How思考”という因果関係も見えてこないでしょうか。
つまりこうです。
まず経験の蓄積によって考える際の枠組みが固定化されてしまい、その結果問題と解決策を1対1で単純化する“is思考”が習慣化してしまう。そうすると必然的に問題の原因(なぜ問題が起こったか=Why)や課題(何を解決すべきなのか=What)に目がいかなくなり、“How思考”も習慣化してしまう、と。
そう考えれば、「1対1で単純化するのではなく、1対nで様々な可能性を広く考える」という課題が見えてきます。
「AはBである」と考えるのではなく、「AはBでもあるし、CやDとしても間違いではない」と考えるのです。
私はこれを「~として」考えるということで、“as思考”と呼んでいます。
たとえばあなたがいつも使っているボールペン、これって何をするモノでしょうか?
「字を書くモノ」だけでなく、「クルクル回して手持ちぶさたを解消するモノ」であったり、「物忘れを防止するモノ」であったりするはずです。また、「自分を表現するモノ」として使っている方もいるでしょうし、「会議中に動かして聞いているフリをするモノ」として悪用(笑)している人もいるはずです。
では、会社で行われている朝礼は何をするコトでしょうか?
「社員のモチベーションを高めるコト」「無駄に時間を過ごすコト」「眠気を覚ますコト」「営業成績を比較するコト」等々、様々なとらえ方ができるはずです。
いかがでしょう。「1対1で単純化するのではなく、1対nで広く考える」という“as思考”が習慣化すれば、問題の原因も広く探ることができるようになりますし、解決策も経験則や思いつきに依存せずに、広く洗い出した中から選択できるようになるはずです。
この“as思考”、ロジカルシンキングの分野でよく使われる“ゼロベース思考”とよく似た概念と言えるでしょう。
ですが、ロジカルシンキングの書籍では、「どうやったらゼロベース思考ができるようになるか」については、「成功や失敗の経験で決めつけずに、ゼロベースで広く考えましょう」程度しか触れられていないことが多いようです。
次回は、いよいよその“as思考”を習慣化するための方策について考えてみたいと思います。
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