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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2007年07月13日

“コラジェクタ”を使ってみませんか?

本日は、このブログの前に書かせていただいていた、慶應MCCメルマガ「てらこや」において、「続きはまたの機会に」と放り出していた件についてお話ししましょう。
※実は先日行った研修で、参加者の方から「あの話の続きは?」とご指摘いただきました。
※本人はすっかり忘れてました。すいません。
さて、本日お話しする“コラジェクタ”ですが、これは「プロジェクタを活用したコラボレーション」という意味の造語であり、簡単に言えばパソコンの画面上で論旨・論点・論脈を可視化、共有することにより『目に見える議論』を実現する仕組みのことです。


具体的な道具立てとしては、PowerPointのインストールされたPC、そしてそれを投影するプロジェクタとスクリーンだけ、つまり通常のプレゼンテーションとなんら変わりません。
プレゼンテーションと異なるのは、説明用にあらかじめ内容が作成されたPowerPointファイルを使うのではなく、真っ白なPowerPointの画面に議論の情報、つまりその時の論点や出た意見をひとつひとつのオブジェクトとして入力していくという、作業の違いです。
その際、単に出た意見や決まったことを記録するだけではなく、意見や論点等の情報を画面の中で並べ替えや分類を行い、また関係性を矢印で明示させながら新たな意見を誘発させることがポイントです。
“記録”ではなく“触発”のツールと言えるでしょう。
もちろん同様のことはホワイトボード等でも可能なわけですが、手書きのホワイトボードには情報の再構成が行いにくい(付箋紙と併用すればある程度可能ですが)という弱みがあります。
その点こうしたデジタルのツールならば、情報は何度でもコピーできますので、様々な切り口で再構成が可能であり、それだけ触発も生まれやすくなります。
また、単純に情報の再構成だけを行うのではなく、PowerPointの機能によって各情報の色・形・大きさが変えられますから、言語情報に視覚情報も加わり、より感覚的に発想を広げることが可能になるのです。
これは色・形・大きさの違いによって情報にメリハリがつくという“図解”の特性に加え、これらの違いで“会話のプロトコル”が共通化されることが有効と考えられます。
こうして言葉で説明しても、たぶんその有効性はご理解いただけないかもしれません。こればかりは、「とにかくやってみる」ことでしか実感できないのが、私としてはもどかしいところです。
しかしこのツール、問題点もあります。
それはなんといっても、「PCの操作者に高いスキルが要求される」という点です。
参加者の発言の論旨を瞬時に理解・要約する思考力と、それをリアルタイムに入力・編集するPCスキルのふたつが求められます。
また、その操作者に入力や再構成の指示を出すファシリテーターにも、それ以上の高い論理的思考力が必要です。
しかし別の見方をすると、このコラジェクタを使った議論によってこれらのスキルを会議という実務の場を通してトレーニングすることができるわけで、アクションラーニングのツールとしても有効なのです。
実際私自身が、10年来このツールを使った議論によって、思考力やファシリテーションスキルを磨いてきたのですから。
「めんどくさそう」と思わずに、一度コラジェクタを使って議論してみませんか?

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