2016年01月12日
「運が悪かった」で済まさない
新たな年、2016年がスタートしました。
私が今の仕事を始めてから、ちょうど15年が経過し、本年4月1日には、なんと社会人生活30周年となります。
本当に月日の経つのは速い…
トシ取るはずだよなあ、という独り言はさておき、個人的には、2016年のコンセプトは”継続”に決めました。
なんとなく、毎年新たなチャレンジを「しなければならない」ように思いがちですが、今年はあえて昨年取り組んできた”スキルとフィジカルのバージョンアップ”を「続けること」を、私の”New Year’s Resolution”にしたいと思っています。
話は変わりますが、皆さん、初詣には行かれましたか?
そして、そこでおみくじを引きましたか?
今年の運勢はいかがでしたか?
私は…「末吉」というなんとも中途半端な運勢でした(笑)
「大吉」を引いた方もいらっしゃるでしょうし、ひょっとすると「凶」だった方もいらっしゃるかもしれませんね。
“運”
ある意味残念ながら、私たちは仕事も生活も、この”運”というやつに左右されます。
それも大いに。
ひょんなことから人脈が役立ち、「運が良かった」と感じることもあるでしょう。
反対に思わぬところに落とし穴があって、「運が悪かった」と自分を慰めた経験もあるはずです。
しかし、良きにつけ悪しきにつけ、思いも寄らぬ何かが起きたのは、「思っていない」ことに問題があったとも言えるのではないでしょうか。
確かにその”運”は、自分がどうこうできるものではないかもしれません。
2011年の震災などはその典型です。
地震の規模、そして津波の大きさ、これらは確かに「想定外」でした。
しかし、「想定外だったから仕方ない」で済ましてよいとは限りません。
「想定外」だったのは、自分の「読み」が「甘かった」と言われれば、それに反論はできないからです。
1920年に施行された、米国禁酒法の失敗を例に考えてみましょう。
アルコールが人とコミュニティに与える悪影響を根絶する。
この崇高な理念の元、禁酒法は制定されました。
その結果米国社会はどうなったか。
ご存じの方も多いでしょうが、密造酒が横行し、それを資金源とする組織的犯罪集団、いわゆるマフィアが巨大化しました。
治安は却って悪化し、汚職が蔓延しました。
しかしそれだけでなく、米国で花開きつつあったワイン産業は壊滅的打撃を受けました。
禁酒法は、社会と経済両方に多大なる悪影響を及ぼしたのです。
「禁酒法でこんなことが起こるなんて!」
禁酒法を推し進めた人々は大いに驚き、そして落胆しました。
そのひとりには、かの富豪にして実業家のジョン・ロックフェラー2世もいたのです。
さて、ロックフェラーでさえ予測できなかった。だからといって「仕方ない」と本当に言っていいのでしょうか?
いや、本当にそれは予測できなかったのでしょうか?
さらに言えば、彼らは禁酒法の悪影響を、本当に予測しようとしたのでしょうか?
これは禁酒法だけではありません。
サブプライムローンの破綻に端を発するリーマンショックも、本当に予測できなかったのか?
日本のIT産業を今日のような状況に追いやった、アップルやグーグル、サムスンの躍進も、本当に予測できなかったのか、予測しようとしたのか?
運に全く左右されないことは不可能です。
しかし、「できるだけ運に左右されない」ことを、私たちはもっと意識すべきです。
「想定外でした」と肩を落とさないようにするためにも。
では、どうすれば?
これはもう、想定内をできるだけ広げることしかありません。
まずは現状をしっかり把握すること。
次に現状の「どのファクター」が「どう変化するか」を、面倒くさがらずに考えてみること。
ポイントは「こう変化するだろう」と考えないこと。
「こう変化するかもしれない」と、たとえ確率的に低かろうが、他人から「ありえない」と笑われようが、一度は考えてみることです。
そしてふたつ目のポイントが、「複線で変化を読むこと」です。
ある数字は「上がる」という読みもできるし、「下がる」という読みもできます。
また、悪影響や好影響も、複数の領域で考えてみるべきです。
禁酒法の例で言えば、禁酒法の悪影響を、様々な分野で考えておけば、それに対する次善の策も立てられたはずです。
このように、複線で因果関係を丹念に読む。
そしてリスクに対してはその回避策や軽減策を考えておく。
また、好影響に対しては、さらにそれを加速させるための補完的な手段を考えておく。
これが「想定外」を「想定内」に変えてくれます。
「運が良かった/悪かった」などという、まさに「運任せ」の経営や具体的行動を防ぎます。
「たまたま」競合がこういう商品を出してきたから自社商品の売上が落ちた。
だから仕方がなかったんだ。
そろそろ、そんな「運や他人のせいにする」のはやめたいものです。
登録
オススメ! 秋のagora講座
2024年12月7日(土)開講・全6回
小堀宗実家元に学ぶ
【綺麗さび、茶の湯と日本のこころ】
遠州流茶道13代家元とともに、総合芸術としての茶の湯、日本文化の美の魅力を心と身体で味わいます。
オススメ! 秋のagora講座
2024年11月18日(月)開講・全6回
古賀史健さんと考える【自分の海に潜る日記ワークショップ】
日記という自己理解ツールを入口に、日常を切り取る観察力、自分らしい文章表現力と継続力を鍛えます。
いつでも
どこでも
何度でも
お申し込みから7日間無料
夕学講演会のアーカイブ映像を中心としたウェブ学習サービスです。全コンテンツがオンデマンドで視聴可能です。
登録