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ファカルティズ・コラム

2016年04月15日

コミュニケーションのKFSは「ビジュアライズ」

Face to Faceのコミュニケーションにしろ、メディアを介したマーケティング・コミュニケーションにしろ、相手に「理解+共感→納得」してもらうための(Key Factor of Success:重要成功要因)は、「ビジュアライズ」です。
ビジュアライズ(visualize)という動詞には、2つの意味がああります。
それは「可視化する」と「心に思い描く」であり、つまり「リアルな見える化」と、「脳裏に映像を思い浮かべること」です。
「リアルな見える化」については詳しい説明は不要でしょう。
口頭や文章、つまり言語情報のみで説明するより、図解や絵、写真のような静止画像、さらに静止画より動画や現物を見てもらった方が、まさに「一目瞭然」です。その具体例がこちら。


「私のクルマはブルーのハッチバックで、シャークフィンアンテナを付けていて…」
            ↓
20141220_131841.jpg
ね?(笑)






これらは、より多くの情報を取得するときに「視覚情報」を利用すると、圧倒的に生産性が高いことを示しています。
また、コミュニケーションだけでなく、マネジメントにおける「見える化」や、発想における「デザイン思考」が注目されるのも、こういう背景があるわけです。


そしてもうひとつの「ビジュアライズ」の定義である「心に思い描く」です。
コミュニケーションにおいて、この「脳裏に映像を思い浮かべる」は、どのように応用すべきでしょうか。
私はそれは、「ビジュアライズしやすい表現」をし、「ビジュアライズしやすい伝え方」で話を組み立てることと考えます。


ではまず、「ビジュアライズしやすい表現」から具体的に説明しましょう。
「脳裏に映像を思い浮かぶような表現」とは、具体的にこんな感じです。
まずは「映像があまり思い浮かばない表現」から。
『私の目の前を、彼がすごいスピードで走り抜けた』
今度は「映像が思い浮かぶ表現」です。
『私の目の前を、彼はあっという間に走り抜けた』
『私の目の前を、彼が飛ぶように走り抜けた』
『私の目の前を、ホームストレートのF1マシンのような速さで彼が走り抜けた』
いかがでしょう。「すごいスピード」だけではイメージしずらい「速さ」が、表現を変えることでイメージしやすくなります。
またそのとき、「飛ぶように」や「ホームストレートのF1マシンのような」といった『比喩』を使うと、よりイメージしやすくなることがおわかりでしょう。


では次に、「ビジュアライズしやすい伝え方」ですが、これには2つの手法があります。


1. 「数」を提示し、「分けて」伝える
「理由は大きく2つあります」「3つのメリットがあります」のように、結論の根拠(理由)を聞くとき、最初に「数」を提示され、その後具体的に説明されると、私たちは「わかりやすい」と感じます。
それはなぜか。私たちの頭の中で、以下のようなことが起こっているからです。

「○○には、3つのメリットがあります」
→頭の中に、3つに分けられた棚ができる。
  ↓
「その3つとは、経済性・機能性・安全性です」
→3つの棚それぞれに、「経済性」などのラベル(タイトル)が貼られる。
  ↓
「具体的に経済性としては…」
→棚に具体的なメリットが収納される。

まさに本棚が理路整然と整理されるようなイメージで、情報が私たちの頭に入ってくる。
だからわかりやすいのです。


2. 「物語」で伝える
以前、「『すべらない話』はなぜすべらないのか?(後編)」というエントリーでもお話しした、「ストーリーテリング」も、このビジュアライズしやすい伝え方です。
体験談や寓話などを用い、セリフも交えながら、ある「場面」や「経緯」をイキイキと伝える。
それによって聞いている人の頭の中に、その場面や経緯が映画のように再生される。
それによって、より「腹落ち」したり、登場人物に共感する。
あなたも小説を読みながら、その場面を好きな役者さんで「脳内再生」したことがありませんか?


さて本日は、相手に「アタマとココロで納得してもらう」ためのである「ビジュアライズ」と、その具体的手法についてお話ししました。
ぜひ仕事で、そしてプライベートでも活用してみてください。

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