KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2007年09月13日

会議の目的とゴールの違い

さて、皆さんひとりひとりが近々開催しようとしている会議、何のためにやるのでしょう?
そこのお三方、いかがですか?
「情報共有会議だから、もちろん情報の共有のためだけど?」
「お客様でのトラブルの解決・・・」
「商品企画のアイデア出しです」
なるほど、わかりました。
では続けて問います。まずは最初の方、なぜ情報共有するのですか?
「え? だって同僚なんだから情報は共有した方が良いでしょう?」
いや、だから情報を共有すると、何がどう良いのですか?


三文芝居のような展開ですいません(笑)
でも、あなただったらこの先どう答えますか?
理由としてはいくつも考えられるはずです。
まずは「自分の仕事の進め方や内容の参考にしてもらう」「その場で他者から指示やアドバイスをもらう」というのが一般的な『情報を共有する理由』でしょうが、「チームとしての一体感の向上」や「競争意識をあおる」「部下の能力を評価する」といった裏の意図がある場合もあります。
では、最後の質問です。
それらの理由(上位目的)を、会議の参加メンバーに伝えていますか?
「そんなことはみんなわかっている」と言いたいところでしょうが、本当にそうでしょうか。「わかっている『はず』」というのが実際のところなのではないでしょうか。
そして、それをちゃんと伝えていないために、参加者が目的を理解しないままに、「情報を話せと言われたから話す」という状況になっていませんか?
そう、“情報共有(ができた状態)”は、確かに会議のゴールではあっても、真の目的ではないはずです。もっと言えば、情報共有とは手段に過ぎないのです。
ところがこうした会議が定例化すると、いつの間にかその手段が目的になってしまう場合が多いのです。これでは会議の意味はどんどん薄れてしまいます。
これは情報共有会議に限りません。
トラブル解決の会議にしても、ゴールは確かに「解決策を議論して決める」ことですが、目的は「お客様からの信頼回復」であったりするはずで、それを参加者全員が認識していないと、自分達に都合の良い解決策を提示してしまいかねません。
商品企画のアイデアをたくさん出すことが会議のゴールであれば、その上位目的は「売上高を増やす」ことがなのか、それとも「市場を創造する」ことなのか?
会議のゴールだけでなく、こうした上位目的をしっかり参加者にも理解させることで、ベクトルが揃い、良いアウトプットを生むことに繋がります。
またベクトルが揃っていれば、目的に合致しない意見も出にくくなるため、無用の脱線や論点の迷走も少なくなり、結果的に効率的な会議も実現します。
もちろん「部下の能力を評価する」等の裏目的で、参加者に伝えるべきでないものもあるでしょう。
ですが、そうしたもの以外の上位目的を明確にし、それを伝えることにたいした工数がかかるわけではありませんし、その効果はご理解いただけるはずです。
来週の会議から、すぐにでもやってみませんか?

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