ファカルティズ・コラム
2017年05月02日
仕事のムダ・ムリ・ムラを撲滅するには
官民一体となって推し進める「働き方改革」。
このトレンドのおかげもあって、最近「仕事術」系の研修の依頼が増えています。
また、昨年執筆した日本能率協会の通信教育もよく売れているとのこと。
10年前もネットを中心とした「ライフハック」のトレンドがありましたが、今回は「少子化」「ライフワークバランス」「ダイバーシティ」、そして「ブラック企業問題」という様々な背景がある分、多くの企業が本腰を入れているように感じます。
こうした「仕事術」でよく言われるのが、「仕事のムダ・ムリ・ムラの撲滅」ですが、本日は、この「ムダ・ムリ・ムラ」について、もう少し突っ込んで考えてみようと思います。
さて、そもそも「ムダ・ムリ・ムラ」とは何なのでしょうか。
ヒトコトで言えば、この3つは全て「仕事に費やすリソースがアンバランスな状態」の異なるパターンです。
では、何がアンバランスなのか。
まず、「ムダ」と「ムリ」はどちらも需要(求められるリソース)と供給(提供可能なリソース)のアンバランスで、「供給>需要」がムダ、反対に「供給<需要」がムリの状態です。
ひとつの仕事にリソースをかけ過ぎるのが「時間/人手/お金のムダ」ですし、その反対が「そんな時間/人数/お金ではムリ」ですね。
そしてもうひとつの「ムラ」ですが、これは時間的・空間的にリソースのアンバランスが生まれている状態を意味します。
同じ人・部署なのに、忙しい日/月/年とヒマな日/月/年がある。これが時間的な「ムラ」。
反対に同じ日/月/年なのに、忙しい人/部署とヒマな人/部署がある。これが空間的な「ムラ」です。
では、こうしたムダ・ムリ・ムラをできるだけ無くすにはどうしたらいいのか。
もうおわかりですね。ムダとムリを無くすためには、仕事の需要と供給のバランスを取ればいい。
そしてムラを無くすためには、時間的・空間的な平準化を実現すればいいわけです。
しかし、口で言うのは簡単ですが、これを実現するのが難しい。
そもそも簡単なら、こんなことがイシューになるはずもありません。
当然ですが、リソースは有限であり、また需要と供給を自由自在に調整することは不可能です。
もちろんマネジメントのひとつとして、雇用調整を行ったり、請け負う仕事量を調節することは可能ですが、それにしてもできることには限界があり、結果その効果も万能ではありません。
マネジメント「だけ」にムダ・ムリ・ムラの撲滅を任すことは現実的ではないのです。
とすれば、私たち労働者も自分たちにできることをやらなくてはならない。
ここからは個別に考えていきましょう。
さて、まず「ムダ」は「供給>需要」な状態ですから、それを解消するには需要を増やすか、供給を減らすことになります。
仕事で言えば、仕事量を増やすか、短時間・少人数でやるようにする、ということ。
しかし「ムラ」のことも考えれば、仕事量を無計画に増やすわけにはいかないので、本来やるべきなのは「個々の仕事時間を短縮し、単位時間にこなす仕事量を増やす」ことがムダの解消の方策となります。
そしてそのためには、個々の仕事時間を短縮するスキルを身につければいいのです。
対して「ムリ」の解消は需要を減らすか供給を増やすことになりますが、残念ながらこれは仕事量を減らしたり、人数を増やす、残業する(その結果コストが増える)ことを意味しますから、当然組織として不可能です。。
よって「ムリ」を解消するためには、「スキルを高めて仕事量に対処できるようにする」ことが最も現実的な方策となります。
つまり、これもムダの解消と同様、「個々の仕事時間を短縮し、単位時間にこなす仕事量を増やす」ということなのです。
たとえば1時間掛けていた仕事を20分で終わらせることができるようなスキルを身につければ、今までムリだったものがムリでなくなるのです。
そう、ムダとムリの解消は、「スキルを身につけて仕事の能率を上げる」ことで実現します。
では、どうやって能率アップ、つまり「個々の仕事時間を短縮し、単位時間にこなす仕事量を増やす」のか。
ひとつは個々の仕事時間を短縮する工夫をすることです。
たとえば説明に5分掛けていたのを1分で説明できるようになるスキルを身につければ良いのです。
他にも、考える時間を短縮するための論理的思考力や、メール処理の時間を短縮する工夫など、様々なスキル・テクニック・ツールがあります。
そしてもうひとつは料理で言えば下ごしらえ、事前準備、つまり「段取り」をきちんと立てること。
たとえば資料作成にしても、また会議にしても、段取りひとつで完成・終了までの所要時間は全く違ってきます。
では、「ムラ」に対しては?
前述の通りこれは時間的・空間的な「平準化」、つまり一日の時間や週/月/季節毎の仕事量、および部署/個人毎の仕事量を平準化することで解消します。
つまり必要なのは、個人や組織単位でのタイム/タスクマネジメントであり、マネジメントということはPDCA最初のP、つまりこれまた「段取り」がポイントなのです。
整理すると…
(1)段取り力を高める
→ムダ・ムリ・ムラの解消に繋がる
(2)個々の仕事時間を短縮するためのスキルを身につける
→ムダ・ムダ・ムリの解消に繋がる
ということになります。
さあ、あなたも「段取り力」を高め、そして「個々の仕事時間を短縮するためのスキル」 を身につけることで、仕事のムダ・ムリ・ムラを撲滅しましょう!
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