KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2008年07月31日

「理屈じゃない」とは言うけれど

ロジカルシンキングの研修やセミナーでは、時々こんな声が聞こえてきます。
「でも先生、現場は理屈じゃないんですよ」
言いたいことはよくわかります。
人間には感情がありますし、さらに性格や価値観も文字通り十人十色。
私も元営業マンですから、理屈が通用ししない場面には何度も遭遇しました。
しかしながらこの発言、実は間違っています。
「理屈じゃない」ではなく、「理屈だけじゃダメ」が正しい表現でしょう。

個人的な経験から言わせてもらえば、「理屈じゃない」と言う人に限って、ちゃんと理屈を考えていない場合が多いように思います。
厳しい言い方をするなら、「理屈じゃない」という発言は、理屈、つまり論理的に考えることを単に放棄しているだけではないでしょうか。
「理屈だけじゃダメ」は確かに真実。。
しかしこんなケースで考えてみてください。
商談でクライアントに説明した。自分は理路整然と伝えたつもりなのに、うまく伝わらない。
  「やっぱり理屈だけじゃダメだよな」
さて、この時あなたは、どこまで理詰めで考えていましたか?
伝わらないのを、相手との人間関係のせいにしようとしていませんか?
「理屈だけじゃ」のヒトコトで、自分に非がないと思いたいだけではありませんか?
思うに、本来「理屈だけじゃ」と言う権利があるのは、ちゃんと論理的に考えた上で、その限界もわかっている人だけではないでしょうか。
感情や人間関係の重要性には、なんら異を唱えるつもりはありません。
しかし理屈も重要です。
この2つが揃ってこそ、日常のコミュニケーションも仕事も上手くいくのです。
人間関係だけのコミュニケーションや仕事で、あなたは満足ですか?
筋が通らない、理不尽なことでも、あなたは「理屈じゃないから」と納得できますか?
まずは徹底的に理屈で考えましょう。
そして伝えるときには相手の感情に配慮しましょう。
また、人間関係に訴える際も、筋が通っていれば効果倍増ですよ(笑)

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