KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2008年10月17日

「整理して考える」とは(前編)

「なぜ私たちは勉強しないといけないのでしょうか?!」
とあるテレビドラマで、少女が叫びました。
先生達は誰ひとり、この問いには答えられませんでした。
さて、皆さんならこの問いにどう答えますか?
ここで安直に「子供は勉強しなくちゃいけないものだ」とか、「いい大学にはいるためだ」などと答えてしまったら、子供達に底の浅さを見透かされるだけです。
では、どう考えれば、そしてどう答えれば良いのか。
私ならまずこう言います。
「じゃあ、ちょっと整理して考えてみようか」

「整理して考える」や「考えを整理する」
よく使う言葉です。
しかし、具体的にはこれは何をすることなのでしょうか。
私は、「整理する」とは「分ける」ことと定義しています。
たとえば、「本棚の整理」とは、具体的に何を行っているか考えてみてください。
◆著者別に並べる
◆ジャンル別に並べる
◆本の大きさ別に並べる
整理の仕方こそ違え、「○○別に」ということは「分けて」いるはずです。
“整理”という言葉を分解すると、「ある理屈で整えること」の意であるとわかります。
この「ある理屈」が、先ほどの例で言えば、「著者別」「ジャンル別」「本の大きさ別」という様々な『分け方』に該当します。
この分け方がごっちゃになってしまっては、整理したことになりません。
「この棚はジャンル別」「この棚は著者別」では、「で、この本はどこに置けばいいの?」となってしまうからです。
だからもっと厳密に言えば、整理とは「ある塊に対して、一定のルールに則って分けること」なのです。
そしてこれは本棚のような物理的なものだけでなく、私たちが頭の中で行う思考という行為に対しても同様です。
つまり「整理して考える」とは、「分けて考える」ことに他ならないのです。
しかし「分けて考える」ことも、実は「2つに分けて考える」ことができます(笑)
ひとつ目が『抽象的なモノゴトを分けて考える』こと、そしてもうひとつが『具体的なモノゴトを分けて考える』ことです。
前者は漠然としたひとつのモノゴトをざくざく切って細かくしていくこと、つまり『分解』です。大きなケーキを切って分配する作業をイメージしてください。
そして後者は細かくたくさんのモノゴトをいくつかのグループにまとめていくこと、つまり『分類』です。前述の本棚の整理がこれに該当します。
「分ける」とは、実は正反対の『分解』と『分類』という2つの意味を持つわけです。
よって「整理して考える」も、この2つのパターンがあります。
では、冒頭の「なぜ勉強しなくてはならないのか?」という問いに対しては、どちらのパターンを使うべきでしょうか。そしてその結果どんな回答を少女に向かって話すことができるのでしょうか。
もう、なんとなく見えてきたのではありませんか?
回答例も含め、続きは次回お話しさせていただきますので、皆さんも宿題だと思って自分なりの答を考えておいてください(笑)

メルマガ
登録

メルマガ
登録