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学びの体験記

2015年12月08日

心の免疫力を高める

桑畑 幸博 慶應MCCシニアコンサルタント

Facebookでシェアされていたハーバード・ビジネス・レビューの記事にこんなのがありました。

他人がまき散らすストレスに”感染”しない4つの方法

この記事にある「ストレス」に限らず、確かに感情は伝染します。
楽しそうな人を見ると自分も楽しくなるし、辛そうな人を見るのはやっぱり辛い。
ニコニコ笑っている赤ちゃんを見たら、誰しもニッコリしてしまいます。

反対に私たちは、「自分がどんなに楽しかったかをわかってほしい」とか、「自分が今どんなに辛いかをわかってほしい」、つまり「共感してほしい」からこそ、楽しそうに、また辛そうに話します。

もちろんほとんどの場合、それは無意識で行っているわけですが、意識的に行う場合、「楽しそうに/辛そうに」話すのは、「共感してもらう」ためのテクニックです。
政治家の演説などは、まさにこのテクニックを使っているわけですね。

しかし、相手が無意識であれ、あるいは意識的にテクニックとして使っている場合であれ、私たちは毎回全てそれに共感しているわけにはいきません。

特に怒りや哀しみ、辛さや切なさ、そして恐怖心や不安感のような「負の感情」に共感、つまり「感染」していては、こちらが精神的に参ってしまいます。

だから相手の感情に対して、うかつに「感染」しないための自分なりの方法を持つことは大切です。

リンク先の記事では、それを「4つの方法」として解説しています。

では、私自身のそうした「自分の負の感情を振りまく相手」への対処法、つまり「心の免疫力」を高める方法をお話ししましょう。

1.相手の目的を見極める

まず、「問題解決」と「共感」のどちらを相手が望んでいるかを考えます。
相手が男性の場合には、前者の問題解決が目的の場合も多いのですが、わが妻も含め、女性の場合は後者の「共感」である割合が高いです(笑)

2a.「問題解決」が目的の場合の対応

相手の目的が問題解決であれば共感の必要はありません。せいぜい興味なさげに聞かないようにするのを心がけます。

それより重要なのは、ロジカルに相手の抱える問題を構造化することです。
ですから積極的に「いつから?」や「なぜそうしたの?」のように質問し、構造化するための情報を収集します。

要するにコンサルティングを相手は求めていますから、こちらもそれに徹します。

そして問題の構造を把握したら、「こういう構造になってるんじゃない?」と確認し、「とすると…」と原因や課題のオプションを挙げる。

あとは相手が勝手にそこから解決策を見つけたり、「ちょっともう一度考えてみるわ」と言ってくれたり、アドバイスを求められればアドバイスします。

この「問題解決」が目的の場合には、そもそも相手の感情に感染してしまう心配は、ほとんどないと言って良いでしょう。

問題は…

2b.「共感」が目的の場合の対応

そう、心の免疫力が必要なのは、この相手が「共感」を求めているケースです。

この場合、私はまず、プランAとプランB、どちらの対応をするかを決めます。
では、それぞれどのような対処法なのか、それをご説明します。

<プランA>
本当に共感しながら聞きます。当然私も負の感情に感染しますが、それは「後で解毒しよう」と割り切ります(解毒法は後述)。

<プランB>
共感している「フリ」だけします。相手に感づかれないように心を閉ざし、「大変だねえ」「そうか…」と相づちを打ちながら、「今晩何食べようかなあ」のような、できるだけ楽しいことを考えます。
このときやってはいけないのが、「早く話終わらないかなあ」と考えること。
これを考え始めると自分も「イライラ」という負の感情を持ってしまうからです。

え?、プランAとプランBをどう使い分けているのですか?
それははっきり言って「相手による」としか答えようがありません。
私の使い分け方の基準をお話ししても、それはひとつの考え方であって、決して正解ではないからです。
あと、それを話すと、私として後々困った事になるかもしれませんので(笑)

では、仕方なく相手の感情に感染してしまった場合の、私なりの解毒法をご紹介して、本日は終わりたいと思います。

(1)意識的に思考を停止させる

他者の負の感情に感染し、鬱々とした気分になったら、自分にこう問いかけます。
「で、自分が悩んで何かいいことあるの?」
ほとんどの場合、その答は「No! Not at all.」です。負の感情でいる意味はゼロ、であれば「悩むのは馬鹿らしい」となり、解毒できます。

(2)問題を意識的に矮小化する

要するに、「たいした問題じゃない」と自分に言い聞かせます。「まあ、どっちにしろ死ぬわけじゃなし」が一番のオススメです。

(3)もっと優先順位の高いことを思い出す

他人の悩みにウジウジしている余裕なんかない、という至極当然のことを思い出す。要するに「そういえばあれやらないと。悩んでるヒマなんてないじゃん!」という解毒剤です。
実際、他人の悩みをひとりで悩むのは、生産性にはただただマイナスです。はっきり言って寝てた方がよっぽどマシ。

(4)自分の幸せを噛みしめる

相手には決して言えませんが、「自分はこいつと比べると、なんと恵まれていることか」と自分に言い聞かせます。
これ、実は解毒だけでなく、相手の感情への感染を防ぐ「予防接種」としても使えます。つまり、「これは相手の悩みであって、自分の悩みではない」ことを確認することで、不必要な感情移入を防ぐのです。

実はもうひとつ、これに似た解毒剤として「自分には関係ない」と自分に言い聞かせるやり方もあるのですが、これは人としてちょっとどうかと思うので、本当に苦手な相手にしか使わないようにしています(笑)

桑畑幸博
慶應MCCシニアコンサルタント

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