ピックアップレポート
2004年06月08日
『有機組織のパーフォーマンスを高めるもの―カオス振動で組織に変革を起こす―』から学ぶ
日本ではこの10年、ピラミッド型組織や階層に基づく人事評価制度の変革が叫ばれ、フラットな組織、部門横断的なプロジェクト活動が注目さ れてきた。しかし、米国や日本の先駆的企業の成功例を真似て、犠牲を 払いながら“組織の形”を変えたにもかかわらず、結果的にはその弊害 に悩むことになった組織が多いのも事実ではないだろうか。
この組織の”今”を解く、関心深い論文を紹介したい。「有機組織のパフォーマンスを高めるもの ―カオス振動で組織に変革を起こす―」、自律分散型組織の研究第一人者である髙木晴夫教授によるものである。
髙木教授は論文の中で、「アメリカの新しい自律チーム組織は、日本の古くからの有機論組織とは、類似点はあるものの異種である」と書いている。
トップからの大きな目標をブレイクダウンし、業務を部品化し分業化する。この「機械的組織」が発達していた米国では、硬直的になりがちな構造をゆるめ柔軟性をもった組織にするため、その枠組みの中で自律的なチームをつくり、有機的な活動を発達させてきた。これに対して日本は、高木教授の表現によれば、「ミドルが設計図を描き、それをトップに上げてから下ろすというミドルアップ型」であり、「あいまいで俗人的な機械論」である。高木教授はこうした日米の有機論的組織の違いをもとに日本の組織の問題を指摘し、その上で、日本の組織を進化させるポイントを挙げている。
組織は進化する。歴史的な背景や文化という根本を再認識すると同時に、日本組織の進化に期待感をもたせてくれる論文である。
『有機組織のパーフォーマンスを高めるもの―カオス振動で組織に変革を起こす―』
慶應義塾大学大学院経営管理研究科ビジネス・スクール教授
髙木晴夫
(Xchange per forma vol.101, winter 2004pp.7-9)
論文はこちらからご覧ください(PDF)。
http://www.kbs.keio.ac.jp/takagilab/library/yuukisoshiki/yuukisosiki.pdf
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