私をつくった一冊
2022年07月11日
山根 節(慶應義塾大学名誉教授、ビジネス・ブレークスルー大学 大学院経営学研究科教授)
慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。
- 山根 節(やまね・たかし)
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- 慶應義塾大学名誉教授
- ビジネス・ブレークスルー大学 大学院経営学研究科教授
- 慶應MCC担当プログラム
1.私(先生)をつくった一冊をご紹介ください
若い頃に衝撃を受けた本はいろいろありますが(例えばトルストイ『戦争と平和』など)、経営学者として「ガツーン」と来たのは、何といっても私のバイブルであるP.F.ドラッカー『ネクスト・ソサエティ‥‥歴史が見たことのない未来がはじまる』です。ドラッカー最後の著作です。
2.どのような内容ですか?
人類の長い歴史の中で、どんな変遷を経て現代の経営があり、これからどんな未来に向かっていこうとしているのか、大局を語った本です。もちろん日本にも触れ、日本の経営をコテンパンにこき下ろしています(笑)。でも日本人にとって救いの言葉も残していますので、思わず頷いてしまいます。
3.その本には、いつ、どのように出会いましたか?
ドラッカーの本は以前も読んでいましたが、おそらく読み込めていなかったのでしょう。「フーン」で終わっていました。でも経営学をたくさん勉強して来て、50歳を超えて、この本に出合った時、今まで勉強してきたことがすべて歴史的なストーリーの中で「そうなんだ!」とつながった感じがしました。
4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?
経営学者として、「一皮むけた」とでも言いましょうか。経営学の研究の歴史や、会計や経営戦略、マーケティングといったいろいろな分野の勉強して来たものが、歴史の脈絡の中で読み解けたと実感しました。人間は歴史の中に生きているわけで、その影響から逃れることはできません。大袈裟ですが、自分の研究してきたことすべてを、歴史の中に位置づけることができ、自分としても説得力が俄然増したと思っています。それは授業や講演などでの聴衆の反応でも感じられるようになりました。
5.この本をおすすめするとしたら?
この本のエッセンスを読み取るには、相当の積み重ねが必要です。それだけドラッカーは深く、したがって多くの人は読み解けないと思います。私もゼミで輪読に使いましたが、私が解説を加えないと学生さんには雲突くような話でした。だから慶應MCCなどで勉強をこなしてきた人にはお勧めできます。集大成の書ですね。
- 山根 節(やまね・たかし)
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- 慶應義塾大学名誉教授
- ビジネス・ブレークスルー大学 大学院経営学研究科教授
- 慶應MCC担当プログラム
- 公認会計士資格登録(1978年)。RJCカーオブザイヤー選考委員、経済産業省「子育て支援サービス産業研究会」座長ほか公職を多数務める。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了の後、コンサルティング会社を設立して代表を務める。同大学大学院商学研究科後期博士課程修了。商学博士。慶應義塾大学大学院経営管理研究科・ビジネススクール助教授、米国スタンフォード大学客員研究員を経て、2001年教授。2014年4月から早稲田大学・大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授。2016年同大学ティーチングアワード、2018年ティーチングアワード総長賞受賞。2019年4月より現職。
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