KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

私をつくった一冊

2023年06月13日

須藤 実和(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授)

慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。

須藤 実和

須藤 実和(すとう・みわ)
  • 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
  • 株式会社プラネットプラン 代表取締役

慶應MCC担当プログラム
  • 企業参謀養成講座(2023年10月)

1.私(先生)をつくった一冊をご紹介ください

いまを生きる
1989年製作
原題:Dead Poets Society
主演:ロビン・ウィリアムズ
第62回アカデミー賞脚本賞を受賞

2.その作品と、いつ、どのように出会いましたか?

社会人になったばかりだったと思いますが、もともと映画を観るのが好きだったこともあり、話題になっている映画だから観てみよう、くらいの軽い気持ちで休日に観に行ったところ、映画の中の言葉の一つ一つに気持ちを動かされ、価値観を揺さぶられるような衝撃を受けて、忘れられない作品になりました。

3.どのような内容ですか?

米バーモントの全寮制名門校に同校のOBでもあるジョン・キーティングが英語教師として赴任し、伝統と規律の中でひたすら勉強に追い立てられる生徒たちに個性的な授業を通して“自分らしく生きること”の大切さを伝えていく物語。自分らしさを探求する喜びと困難の中で成長していく生徒たちの葛藤が描かれています。
邦題の“いまを生きる”は、キーティング先生が最初の授業で生徒たちに教えた、ラテン語のCarpe Diemという言葉の日本語訳、“いまを生きろ”からきていると思われます。ちなみに映画の中でキーティング先生は、Carpe Diemを“sieze the day”、“その日をつかめ”と解説しています。

4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?

映画の中で、キーティング先生は授業を通して多くのメッセージを生徒たちに伝えるのですが、私自身が、直接、その言葉を言われているような気持ちになるくらいのインパクトがありました。

印象に残ったシーンの一つに、ロバート・フロストの詩、The Road Not Takenの一節を紹介しているところがあります。“森の分かれ道で人の通らぬ道を選ぼう。すべてが変わる”(Two roads diverged in a wood, and I – I took the one less traveled by)という一節を引用しながら、生徒たちに、自分の信念を貫きとおす難しさと、それでも他人からどう思われるかに囚われることなく自分の中から湧き上がる新しい発想や願望を信じて自分に自信を持って欲しいと励ます場面です。

世の中で常識とされていることや長く続いている考え方に自然と沿ってしまいがちな私にとってはハッとするメッセージで、既成概念に対して自分なりの見方や感じ方を持ってみようと思うきっかけになりました。

5.この作品をおすすめするとしたら?

人が通っていない道をあえて選ぶのは容易ではなく、その道を選んだことで拓けてくる局面ばかりではありませんが、そういう人がいなければ世の中は変わって行かないのだと思います。「自分らしく生きたい」と思う方にとってこの映画が少しでも後押しになれば嬉しいと思っています。

須藤 実和

須藤 実和(すとう・みわ)
  • 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
  • 株式会社プラネットプラン 代表取締役

慶應MCC担当プログラム
  • 企業参謀養成講座(2023年10月)

東京大学理学部生物化学科卒業、同大学理学系大学院修士課程修了。博報堂におけるマーケティング戦略立案経験、アーサー・アンダーセンにおける監査、買収監査(due diligence)経験を経たのち、シュローダー・ベンチャーズに参画、ベンチャー企業投資育成業務に携わる。1997年、戦略系経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーに参画し、2001年より同社パートナーとして顧客企業のコンサルティング活動に加えて幅広い講演・執筆活動を行う。
現在は教育活動やベンチャー企業の育成支援活動に携わるとともに、国内大手企業の戦略立案支援、事業開発支援、人材開発支援に従事している。公認会計士。
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