私をつくった一冊
2024年03月12日
古川 周賢老大師(臨済宗妙心寺派 乾徳山恵林寺 住職)
慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。
- 古川 周賢老大師(ふるかわ・しゅうけん)
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- 臨済宗妙心寺派 乾徳山恵林寺 住職
- 慶應MCC担当プログラム
1.私(先生)をつくった一冊をご紹介ください
2.どのような内容ですか?
外国人向けに、「禅の精神」とはどのようなものなのか、そして日本の文化にどのような影響を与え、日本人の精神にどのように定着しているのかということを、「禅と美術」「禅と武士」「禅と剣道」「禅と儒教」「禅と茶道」「禅と俳句」といった、多面的な章立てを通して、様々な角度から、印象深いエピソードを交えて説明しようとする著作ですが、現代に生きる日本人であるわたしたちにとっても、自分たちのアイデンティティの根本を、深く考えるように促す内容となっています。
3.その本には、いつ、どのように出会いましたか?
大学で西洋哲学を真剣に学んでいて、禅どころか、仏教や東洋の文化にはほとんど関心がなかった頃、学校の帰りに早稲田の古本街で古本漁りをしながら歩いていて、安売りのワゴンセールの中にあったのを、たまたま手に取りました。父親の本棚に並んでいたのが、なぜか記憶に残っていて、大して期待もせずに買って帰りました。帰りの満員電車の中で、何か一冊読もうと手探りで引っ張り出したのが、この本との出会いです。特に欲しくて買った本ではなかったので、少しがっかりしながら読み始めたのですが、すぐにぐいぐい引き込まれ、そのまま朝までかかって読み通してしまいました。
4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?
この本との出会いがなかったら、禅の道に入ることはなかったと思います。人生を変えた、運命の一冊です。
5.この作品をおすすめするとしたら?
日本文化に馴染みのない外国人に対して、平易に為された日本文化の解説と紹介されることもありますが、第一級の思想家による、深い思想に裏打ちされた名著です。自分とは何者か? 何のために生きているのか? 人生において、何を為すべきか? ということを、真剣に考えたい人にお奨めします。
- 古川周賢(ふるかわ・しゅうけん)
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- 臨済宗妙心寺派 乾徳山恵林寺 住職
- 慶應MCC担当プログラム
- 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を修了、博士号取得。平成9年京都紫野大徳寺専門道場に掛搭。平成23年山梨県甲州市塩山妙心寺派乾徳山恵林寺副住職、同26年住職に就任。各地の講演会で禅について、また禅僧の観点から社会問題について熱く語り、恵林寺の坐禅会には遠方からも参加者が集まる。2016年 NHK SWITCHインタビュー達人達「立川談春×古川周賢」出演。
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